トランスコスモス、〝カスハラ〟対策を推進

トランスコスモスは、〝お客様企業〟(コンタクトセンター委託企業)のフロント業務であるコンタクトセンター事業において、生成AIを活用し、利用者からのカスタマーハラスメント(カスハラ)に対する対応支援サービスの提供をはじめた。10月4日に全国初のカスハラを防止する条例が東京都で可決された。取材した岩浅佑一CX事業統括デジタルカスタマーコミュニケーション総括サービス開発本部本部長は「カスハラは近年、社会問題として浮上している。特にコールセンター業界において深刻な影響を及ぼしている。トランスコスモスは、業界リーダーとしてこの問題に正面から取り組んでいる」と話す。併せて生成AIを活用し、コンタクトセンター管理者とオペレーターの運用支援などを向上させるソリューションの開発に関して話を聞いた。

トランスコスモスは、「trans―DX for Support」活用でカスハラ対策を推進している。このほど、生成AIを活用した包括的なカスハラ対策ソリューションの提供を開始した。
同サービスは次の3つの主要な要素で構成されている。
①カスハラの定義の明確化=同社は、カスハラの具体的な定義を明確化した。長年にわたるコールセンター運用実績をもつ同社が提供する定義により、従業員とお客様企業はカスハラの認識を共有し、問題の早期発見と対策が可能になる②生成AIを活用した対応方法の提案=電話対応中に音声を自動解析し、感情分析を行う。これにより、カスハラが発生したことをリアルタイムで検知し、管理者が迅速にオペレーターのサポートに入る、通話を終了するなどの対策を講じる。このシステムはオペレーターを守り、ストレスの軽減につなげる③カスハラ対策の導入と運用支援=同社は、これらの対策施策を企画から導入まで一貫してお客様企業に提供する。これには、対策マニュアルの作成、トレーニングプログラムの実施、定期的な評価と改善提案が含まれる。
消費者のメリットは▽デジタルチャネルへの移行によるサポート受付までの待機時間や解決までの時間短縮▽WebサイトやアプリのUI/UX改善による自己解決の増加▽チャットでの問い合わせにより、いつでも、どこでも(家事や仕事、移動途中など)問い合わせ時間を有効活用。
企業のメリットは▽音声認識・生成AIを活用したカスハラの自動認識▽待機時間の減少・自己解決の増加により消費者のストレスが緩和されカスタマーハラスメントを低減▽チャットなど、デジタルチャネルでの消費者とのWebコミュニケーションによる従業員の心理的負担を低減▽デジタルチャネルへの移行による自己解決率・運用効率化によるコスト削減▽CX向上によるファン層の拡大/売上拡大へ寄与。

写真は岩浅佑一氏

全文は10月23日付け5面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。