【速報SIGGRAPH Asia】ソニー、360°透明ライトフィールドディスプレイを展示

 ソニーは、SIGGRAPH Asia 2024の展示会に「360°透明ライトフィールドディスプレイ」を展示した。
 360°透明ライトフィールドディスプレイは、HOE (Holographic Optical Element) スクリーンという透明スクリーンを活用した新方式の円筒型裸眼3Dディスプレイ。
感光性のフォトポリマーフィルムにレーザー光を照射する。物体光(拡散光)と、参照光の2本のレーザー光が照射されると干渉縞が発生する。干渉縞の光を強め合う部分、弱め合う部分でフィルムの中の物質が変化し、屈折率の高い部分、低い部分が形成される。干渉縞が記録されたフィルムに、参照光と同じ波長と入射角の照明光を当てると、フィルムを透過するときに、物体光と同じ振る舞いをする再生光が発生し、逆に参照光と異なる条件の光はそのまま透過する。
 これは、ホログラムによって立体的に映像が浮かび上がるのと同じ原理となる。ホログラムは、物体光を記録したフィルムに照明光を当てることで、あたかもそこに物体があるかのように映像を再現する。HOEスクリーンでは、記録するべき物体光として拡散光を用いることで透明なスクリーンを実現している。
 HOEスクリーンは外光の影響を受けやすいため、実用的な透明スクリーンディスプレイの実現には、外光の影響を受けにくい構造アイデアが必要なため、独自の円筒投影光学系を考案した。円筒面全面にムラなく、明るく、高精細な映像表示を可能にしているのが、レンズとミラーのセットで構成される独自の円筒投影光学系。
 ディスプレイの下部にあるレーザープロジェクターから、映像光が照射されます。プロジェクションレンズを通って上方に向かって投影された映像光は、天井部のミラーで反射し、アクリルシリンダーの内側に貼付されたHOEスクリーンに結像する。このHOEスクリーンは、映像光の入射角に合わせて最適に設おり、さらに設計的な自由度も高いため、映像光の入射角や回折光の出射角と拡散角は変えることができ、用途に応じた視聴位置に対し輝度を最大化することもできる。
 今回展示したのはプロトタイプ機で、さらにブラッシュアップを加えて製品化を目指していく。

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。