アトラクター、「防災産業展2025」に出展

 放送システム開発、WEBシステム開発を行うアトラクター(長野県軽井沢町、濱田淳代表取締役)は、「防災産業展2025」に出展し、テレビ電波を活用した次世代型情報伝達サービス『IPDC/防災行政無線』を展示した。①『IPDC/防災行政無線/スマホへ通知』の実用化②『IPDC/ブロックチェーン』による災害時の公的認証③『自主放送』によるテレビに表示できる自治体サイネージ及び防災機能付き自治会向け管理サイト―を展示紹介した。
 同社は、テレビ電波で情報配信するIPDC/ナローキャスト放送を展開している。ナローキャスト放送とはテレビサービスと同時にデータ配信を実現する、放送局による情報配信プラットフォーム。『テレビ(地上デジタル放送)の電波』でIPDCにより情報を伝達する新しいサービスだ。テレビの電波そのものを使った情報配信なので、現在テレビが見られる所に情報を伝達することができる。IPDCは、インターネット・プロトコル・データキャストの略で、放送プロトコルでIP(インターネットプロトコル)パケットを配信できる技術により、テレビ電波でデータや情報を送る仕組みだ。つまり、テレビ電波で一斉に公共配信が行える。さらにはテレビ電波で通信機器や他のネットワークと連携ができるのが特長。
 テレビ放送波を活用した情報伝達の特長は①確実に情報が伝達できる『災害に強い電波』であること②公共情報の伝達で威力を発揮する『高いセキュリティ』であること③必要な場所へ伝達する『地域の出し分け』ができること④住民への通知・連絡に役立つ『通信機器へ連携』―である。
 今回の出展の見どころについて濱田社長は次のように述べた。
 「テレビの電波を使った情報通信の新たな発展形として、防災行政無線とスマホへの通知、更にブロックチェーンとの連携サービスを紹介しています。実際のブロックチェーンとつないで実際に動く環境を見ていただいています。その中で役所でのボランティアの公的認証とその証明を想定。ボランティア証明書を発行し、放送の電波で公共情報としてブロック情報を飛ばして被災地ではそれを受信しており、先ほどの証明書とブロックチェーン認証しています。インターネット環境がないところでそのブロックチェーンの証明ができています(②)。もうひとつが仙台における『仙台BOSAI―TECH』という取組としての実証実験を今年(2025年)1月に実施しました。そこで『スマホdeリレー』の第2世代として、テレビの電波からスマホへ通知のグレードアップ実装。より確実により速く情報更新ができるような環境を展示しています(①)。もうひとつ、『自治体サイネージ』を出しています。テレビの電波に頼らず、ローカル環境の中でチャンネルを増やせるもので、テレビを表示端末として活用し、サイネージ形式で情報を表示することができます。例えば避難所の中、公共施設の中、学校の中のような空間です。学校のケースでは、各教室の中にテレビがありますので、1台校舎の中に置くだけで、自治体からの情報をすべてのテレビで学校チャンネルとして視聴できるのです。こういう学校チャンネルみたいなものが、館内だけで情報を見ることができる、これが放送の技術だけでできます。これをうまく災害時にも活かせます。情報の更新は外部(クラウド)からも校舎内(ローカル環境)でもできます。災害時も更新することで災害情報として役立つと考えています(③)」。

2月17日付け4面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。