パナソニック、万博は45万の来場を見込む「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい。」

 パナソニックはこのほど、「2025年 大阪・関西万博 パナソニックグループパビリオン ノモの国」(おさらい)セミナーを開催した。
 パナソニックグループでは、物と心が共に豊かな理想の社会の実現を目指しており、特に「子どもたち一人ひとりが自分の輝く未来を想像し、 可能性を信じて、一歩を踏み出すきっかけをお届けする」ことをサポートする。
 パナソニックグループはモノ作りの会社であり、モノをひっくり返して「ノモ」としたという。ノモの国のコンセプトは「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい。」

ライトアップ 青

ライトアップ 青


 今回の万博では資源循環に注力しており、パビリオンは家庭で使用済みの家電が主要部材に使っており柱・梁の約98%(97t)に家電リサイクル鉄を使用。洗濯機(9200台分)リサイクルガラスを使って舗装ブロック(749㎡)に用いている。家電リサイクル銅(約1.2t)による幹線ケーブル(891m)とパビリオン全体で「家電」が用いられている。
 また、工場で出る「端材」や「廃材」もアップサイクルしている他、世界中で廃棄・焼却されていた「廃材」も活用。マレーシアでパーム油収穫のために植えられるアブラヤシの廃材をアップサイクルした板材「PALM LOOP」でパビリオン家具を製作、森林資源の有効活用を目指す床材製品「サステナブルフロアー」を使用している。
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 「ノモの国」についてパナソニックホールディングス 2025年大阪・関西万博推進委員会 総合プロデューサーの原口雄一郎氏は、ココロが映し出される「不思議な国『ノモの国』に迷い込んだ子どもたちがUnlockされていくストーリー。来館するこどもたち一人一人が主人公になって、この『ノモの国』を冒険していく中で、それぞれの心をUnlockしていこうという体験になっています」という。
 「ノモの国」のゾーン構成は、パナソニックグループが長年培ってきた「ひとの理解」研究に基づく技術や空間演出の技術などを活用し、子どもたちが秘められた力を解き放つ非日常体験ができる「Unlock体験エリア」と、研究開発中の技術を用いて未来社会のアイデアを具現化した展示エリア「大地」で構成される。
 「Unlock体験エリア」は30名を1グループとして体験する。ゾーン1の「カガミイケの奥深く」では普段意識しない感覚を研ぎすますことになり、立体音響を軸としたクロスモーダル体験を体感する。ここの音響関連はテクニクスが協力している。
次の「ノモの森」では自由なココロで未知の世界を探索、さらに「古木の谷」および「滝」では自分の秘めた力と向き合う&勇気を持って一歩を踏み出す、をテーマにしている。
 最後の「大空へ」では、可能性を羽ばたかせ、世界と響きあうを体験。滝と大空へは、シルキーファインミスとによる空中映画演出を行い、クライマックスシーンでは、映像が照射された直径 1.3mのミストの渦輪が天井5か所から降り注ぐ「ボルテックスリング」や独自開発の気流拡散抑制機構で幅7m×高さ3.5mの滝状のシルキーファインミストのスクリーンをつくり出しますミストウォールを実施する。

 「大地」は、ひとの営みと自然の営みが新たな関係性を築くことで720°の循環を実現するアイデアを研究開発中の技術で子どもたちや共創パートナーと共に具現化している。「大地」について、パナソニックホールディングス 2025年大阪・関西万博推進委員会 テクニカルディレクターの原吉輝氏は、「大地はノモの国のコンセプトである『循環』を五感で体験できるエリアになっている」と語る。
原吉輝氏

原吉輝氏

 

 成長刺激剤「Novitek(ノビテク)」は、500倍に希釈した同剤を葉面に塗布することにより、食物の成長を刺激するもの。CO₂から植物成長資源分子を合成するとともに、シアノバクテリアと植物成長資源 分子を分離するフィルターを開発した。万博会期中に屋内環境にて多品目の効果検証を行う。とうもろこし、トマト、ほうれん草などを作る予定。すでに、ほうれん草の収穫量が約40%増加したという報告もある。「収穫した野菜を使ってバーベキューなどのイベント等も行えれば」(原氏)としている。
 世界最高レベルの発電効率18.1%のガラス型ペロブスカイト太陽電池を展示。材料技術、インクジェット技術、レーザースクライブ技術など技術の進化により、デザインの共創を実現。都市の景観に溶け込む「発電するガラス」を目指し。独自加工技術にてデザイン性の高いガラス型ペロブスカイト太陽電池(1.0×1.8m)を開発した。

ペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池

 セルロースエコマテリアル「kinari(きなり)」は、新たな生分解素材開発、8か月で完全に分解する。自然に還るリーフオブジェを作成した。
バイオライトは、魚に付着している発光微生物を長期培養する。万博で立ち上げたプロジェクトの一つ。すでに60リットルの発光微生物を1週間連続培養する事に成功しており、万博に向け長期培養ノウハウを蓄積する。
 五感で感じる心地よさ「バイオセンサリードーム」では、ミストを光(μLED)を音で集中の瞑想、生き物のように温かさと呼吸しているかような「呼吸玉」に触れることで人の自由な感性を引き出す気づきの瞑想を用意。また、壁面パネルには、キノコの菌糸から作成された菌糸パネルが使われている。

 「ノモの国」のメインのターゲットはα世代と言われる子供で、パナソニックブランドとあまり接点がない世代に強力にアピールする。次の時代を担う世代に寄り添うことにより、パナソニックの事業開発に生かしていきたいという。
 会期中、45万人の来場を見込んでいる。

トップ画像はパナソニックホールディングス 2025年大阪・関西万博推進委員会 総合プロデューサーの原口雄一郎氏