実録・戦後放送史- 電波取材に生涯を捧げた 記者・阿川秀雄の記録 -


実録・戦後放送史 第42回

「電波三法の国会審議始まる④」

第1部 放送民主化の夜明け(昭和25年)

 電波三法」の国会提出にあたって行った網島電波監理長官の趣旨説明の内容紹介を続けたい。
 そして次の要点として、行政処分、命令等に関して民主的な「聴聞(ちょうぶん)」を実施することなどを次の如く明らかにしている。
 [民主的行政の基本]
 第四は現在の無線電信法では、国民の権利義務に関する重要な事項が、きわめて大幅に政府の行政命令に委任せられておるのでございますが、電波法案におきましてはこれらを法律中に定めてございます。
 第五といたしまして、それでもなお細部におきまして、法律の委任によりまして、または法律の執行のために命令を必要とする場合が多々ございますが、これらの命令を制定改廃いたしますためには、利害関係者の参加する聴聞を経なければならないことにしておるのでございます。
 第六といたしまして、免許その他の処分を行う点につきましては、極力そのような場合を限定いたしますとともに、処分を行う際はあらかじめ電波監理委員会規則で定められているところの準則に基づかなければならないことになっております。そしてその決定にあたりましては、電波監理委員会において十分合議いたしまして、行政処分を行うことになっておるのであります。
 このような民主的な過程による行政処分に対しましても、さらに自由に異議の申立てができるようにしてございまして、その申立てがございますれば、慎重な聴聞を経なければならないことになっております。その聴聞を経た決定に対しましては、さらに不服がある場合に、裁判所に出訴する道が開かれておるのでございます。
 以上は電波法の概略でございますが、各章にわたりまして、おもな点を若干敷衍いたしたいと思います。
 網島長官はひと息いれ、放送法案の骨子と目的、すなわち、新しい法律によって公共放送を行う「特殊法人・日本放送協会」の設置および、民間放送の併立等について、その考え方を次のように明らかにしていった。
 (第43回に続く)

阿川 秀雄

阿川 秀雄

1917年(大正6年)~2005年(平成17年)

昭和11年早稲田大学中退、同年3月、時事新報社入社、以後、中国新聞社、毎日新聞社等を経て通信文化新報編集局次長。昭和25年5月電波タイムス社創立。

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