実録・戦後放送史 第62回
「辻委員長の総括説明②」
第1部 放送民主化の夜明け(昭和25年)
衆議院本会議における辻寛一電気通信委員長の締めくくり総括説明は続く。
次に、法案の内容につき主要な点を申し上げます。
電波法案は九章百十六箇条及び附則よりなる法律でありまして、その内容は、放送をも含めた無線従事者、無線局の運用、監督、聴聞及び訴訟、罰則等、電波行政を事務、技術の両面から規律する電波の基本法ともいうべきものでありますが、具体的内容に関しましては、現行の取扱いに著しい変更を加えようとするものではありません。
ただ特に注目すべき点は、この法律案におきまして、新たに十七箇条にわたる聴聞に関する規定を設けておることでありまして、すなわち電波監理委員会規則を制定しようとするとき、電波監理委員会の処分に対する異議の申し立てがあったとき等の場合、電波監理委員会におきましては、審理官をして利害関係者、参考人等の出頭を求めて、裁判手続に類似した聴聞手続を行わしめ、その調書及び意見書に基づいて事案の決定を行う旨の規定並びにこの聴聞手続と訴訟手続との関係に関する規定を置いておるのであります。
次に放送法案は四章五十八箇条及び附則によりなっておりまして、その内容は放送に関する総則的規定、日本放送協会に関する規定、協会以外の一般放送事業者に関する規定及び罰則規定であります。
ご承知のごとく、わが国の放送事業は、大正十三年逓信大臣の認可のもとに設立されました社団法人東京放送局によって開始され、引続き名古屋及び大阪にも放送局が設立されたのでありますが、大正十五年に至って、これら三放送局が統合されて現在の社団法人日本放送協会が設立されまして以降は、まったくその独占経営のもとに今日に至っておるのであります。
しかるに、今回放送法案の規定により、この社団法人日本放送協会は解散いたし、新たに特殊法人たる日本放送協会が設立されるのでありますが、電波法案の規定によれば提案理由ご説明の際に申し述べました電波解放の原則に従いまして、この日本放送協会のほかに、一般人もまた一定の条件を具備し、電波監理委員会の免許を受くるにおいては、民間企業として放送事業を経営し得ることと相なるのでありまして、このことは、わが国放送事業史における画期的変革と申しても過言でないと存ずるのであります。(第63回に続く)
阿川 秀雄

阿川 秀雄
1917年(大正6年)~2005年(平成17年)
昭和11年早稲田大学中退、同年3月、時事新報社入社、以後、中国新聞社、毎日新聞社等を経て通信文化新報編集局次長。昭和25年5月電波タイムス社創立。
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