富士通など、現行コンピュータを超える速度で実用アルゴリズムを実行

富士通と大阪大学の量子情報・量子生命研究センターは、量子コンピュータの早期実用化に向けて、共同で開発を進めている高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャ(量子コンピュータの実現に不可欠な任意の角度の位相回転に必要な量子ビット数を大幅に低減することで、現行コンピュータの計算性能を超える量子コンピュータの実用化を早めると期待される量子計算アーキテクチャ)「STARアーキテクチャ」について、位相回転(量子コンピュータが真価を発揮するために必須とされている、量子ビットの任意の位相角を回転させる操作)操作時の位相角の精度を向上させる技術、および量子ビットの効率的な操作手順を自動生成する技術を開発した。
これらの新技術により、量子コンピュータの計算規模を飛躍的に拡大させ、誤り耐性量子計算(FTQC、量子エラーを訂正しながら誤りなく量子計算を実行すること)で現行コンピュータの計算速度を超えるのに典型的に必要と言われていた規模よりも1桁少ない6万量子ビットを用いて、現行コンピュータで約5年かかる物質のエネルギー推定計算をわずか約10時間で実行可能になることを示し、量子コンピュータの早期実用化への道筋を確立した。この6万量子ビットは、早ければ2030年頃に実現すると期待されている規模。

全文は9月4日付け4面に掲載

写真は富士通本店

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。