オデッセイ セミナー「人的資本経営の現状と最先端ソリューションの動向」開催

 ITコンサルティング企業のオデッセイ(東京都千代田区、秋葉尊社長=写真=)はこのほど、同社が展開するソリューションサービスの最新トピックスを解説する報道向けセミナー「人的資本経営の現状と最先端ソリューションの動向」を都内で開催した。セミナーでは、秋葉尊社長が登壇し、ソリューションの特長とともに同社の強みを紹介した。

 

人事領域に特化
 1997年に創業したオデッセイは、これまで25年以上にわたり人事領域一筋に、国内約100あまりの企業を顧客として活動してきた。現在は、ERPの世界的トップベンダーとして知られるドイツのSAP社が提供するフルクラウド型統合人事ソリューション「SAP SuccessFactors」の導入コンサルティングサービスを事業の根幹としている。
 今回のセミナーのテーマである「人的資本経営の現状と最先端ソリューションの動向」の“人的資本経営”とは、会社が従業員を、会社の成長を支える大切な力として捉え、社員のスキル、経験、健康、働きやすさに投資する経営手法のこと。従業員を単なる働き手ではなく、企業の将来の成功に不可欠な「資本」として扱い、育てることを目的とする。これにより社員の成長が企業の成長に繋がり、業績向上を目指すことが人的資本経営の最も重要なポイントといえる。昨今、人的資本経営は、日本の企業でも注目されており、2023年3月決算から上場企業においては、有価証券報告書に人的資本情報の記載が義務化されている。

 説明会の冒頭、秋葉社長はオデッセイが今年4月に実施した「人的資本情報の可視化・開示の取り組み状況に関するアンケート調査」(対象は国内の従業員1000名以上もしくは年商500億円以上の企業)の結果を提示しつつ、開示義務化2年目となる現在の状況について、「回答があった企業全体で約6割、上場企業では約8割が開示しており、堅調に進んでいる。しかし、一方で何を管理するべきか悩む企業が多いこともわかった。また、上場企業の8割以上が経営効果を定量的に把握することが必要だと考えていることが判明した」と紹介した。さらに調査結果から見えてきたこととして「どのような人的資本情報を管理するべきか決められず、PDCAサイクルを回す以前に停滞している企業が一定数いるものと思われる。また、有価証券報告書に開示している企業においては、エクセルや手作業による集計作業が手間になっていることが問題になっている」と説明した。そして「情報収集の難しさ」や「今後どんな情報を公開すべきか」など、情報開示を進めるうえでの課題が残っているとし、「人的資本情報の開示に関する準備に苦労している日本企業が多い」と調査結果を総括した。

 これらのことをふまえ秋葉社長は「人的資本管理を一元化し、可視化するためにはITを活用することが非常に有効だ」と述べた。オデッセイは顧客企業の多様なニーズに応えるため、「SAP SuccessFactors」を活用した独自のソリューション開発に注力しており、「SAP SuccessFactors」をコストパフォーマンス高く活用するために新規導入ソリューションとして、様々なタイプの「Ulysses®」シリーズを提供している。中でも2022年12月にリリースされた「Ulysses 人的資本ダッシュボード®」は、ISO30414で規定された11領域の内、定量化可能な40項目と、2023年3月から有価証券報告書への開示が義務化された3要素をモニタリングしつつ、簡単に開示できるダッシュボードとして顧客ユーザーから好評を得ているという。また、今年の9月には「人的資本経営成果指標」として財務指標5つ、非財務指標8つの計13指標がモニタリングできるダッシュボードを追加リリースしている。
 秋葉社長は「『人的資本経営成果指標』のダッシュボードでは、人的資本情報を活用したことによって経営にどんな影響があったのかがすぐにモニタリングできる。また、「有価証券報告書記載義務化事項」のダッシュボードを活用すれば、有価証券報告書への人的資本情報開示のための集計作業がほぼ自動化されるため、開示プロセス全体を大幅に効率化することも可能だ。さらに『SAP SuccessFactors』(タレントマネジメント・コア人事)と同時に導入していただければほぼ無料で導入することができ、大変リーズナブルだ。さらに全項目設定済みの状態で提供するため、お客様が設定作業を行う必要はない。また、『Ulysses 人的資本ダッシュボード®』単独での導入も可能。このようにパッケージ化されたソリューションは中々ないと思う。お客様はご自身の目的と予算に合ったソリューションを選んでいただくことができる」とオデッセイが提供する「Ulysses 人的資本ダッシュボード®」の導入メリットをアピールした。

「Ulysses 人的資本ダッシュボード®」

 

AIチャットボット「MetisAI」をリリース
 オデッセイは、「SAP SuccessFactors」のユーザーが抱える日常的な操作や設定に関する質問に24時間365日即時対応するAIチャットボット「MetisAI(メティサイ)」を2021年6月にリリースしている。今年9月、この「MetisAI」を生成AI化した新たなバージョンの提供を開始した。生成AI「ChatGPT-4o」を搭載することで、従来よりさらに高い質問対応力が実現、これにより、質問の文脈を理解し、関連する参照資料を要約して表示する機能が強化され、より迅速かつ的確な回答が可能となったという。本アップデートにより、ユーザーは今まで以上に効率的で質の高いサポートを受けられるようになる。
 秋葉社長は「『SAP SuccessFactors』のような大規模業務システムに対応できるチャットボットを実装することは非常に難しいと言われている。当社では、導入テンプレート『Ulysses®』に基づき、『SAP SuccessFactors』の各種設定・操作マニュアルやお客様からの問い合わせ実績や回答を一般化し『MetisAI』へ学習させている。最新の生成AIである『ChatGPT-4o』とともにオデッセイ独自の知見をご利用いただくことができる」と述べ、「顧客のニーズをわかりやすい形でパッケージ化し、しかも金額を明確化している。メニュー形式でソリューションを自由に選べることも特長であり、我々の強みであると自負している」と改めてアピールした。

 

 

※ERP…Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略。企業経営の基本となる資源要素を適切に分配し、有効活用する計画=考え方。または「会計業務」「人事」「生産」「物流」「販売」などの基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図るための全社統合パッケージシステム。

※SAP SuccessFactors…ERPのトップベンダーとして知られるドイツのSAP社が開発・提供する世界177ヶ国・6200社で利用されている、フルクラウド型人事ソリューション。タレントマネジメントの中心機能である目標管理、キャリア計画、学習管理、後継者計画からコア人事の人事/給与管理まで、ひとつのシステム基盤で利用でき、機能拡張も容易に行えるのが特徴。初期導入では導入スコープを限定し、SAP SuccessFactorsの運用の習熟度に合わせて機能拡張する「スモールスタート」にも適した人事ソリューションとなっている。

※Ulysses®(ユリシーズ)…オデッセイが100企業グループ以上に上るSAP人事ソリューションの導入プロジェクトの中で培ってきたナレッジと数々の顧客ニーズを結集した、同社独自の導入テンプレート。2004年のリリース開始後、人事ソリューションのトレンドおよび顧客の声を反映させアップデートを重ねてきた。これにより、オデッセイのこだわりである「お客様に満足頂ける高品質のサービスをより低価格でご提供する」を実践するためのソリューションテンプレートとなっている。なお、Ulysses単独での導入も可能。