MCPCが5年ぶりに交流・意見交換会開催

 モバイルテクノロジーの利活用拡大のための技術活動や普及啓発、人材育成に取り組むモバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC、安田靖彦会長)は11月28日、東京プリンスホテル(東京都港区)で2019年以来5年ぶりとなる交流・意見交換会を開き、会員の業界関係者や管轄行政職員ら約300人が出席した。
  MCPCは、モバイルを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の各産業分野への適用促進をはかるため、 通信キャリア、コンピュータハードメーカ・ソフトウェアメーカ、システムインテグレータ、教育機関等による組織として1997年6月末日に設立された。
 加盟会員の懇親の場として定期的に交流・意見交換会を開催。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019年を最後に中止していたが、5年ぶりの開催となった。
 安田会長は冒頭のあいさつで、「これまでの数年間を振り返ると、2020年に中国で発生したコロナウイルスの蔓延で2億5千万人が感染して約500万人が犠牲になった。日本も総人口の27%に当たる3300万人が感染し7万5千人が犠牲になった。MCPCではコロナによる活動制限もあり、この5年間はアワード祝賀会や会員交流会が行えなかった。今回5年ぶりに関係者にお集まりいただくことができ、新たな発展のきっかけができることを期待している。2年前にMCPCの人材育成のモバイルシステム技術検定とIoTシステム技術検定の受験者が延べ10万人を達成した。今回はその御礼を兼ねての交流会。人材育成では多数の方々に指導と支援をいただいた。DX推進のベースは人材。今後も電波の有効利用に向けたモバイルシステムの活用、DXの高度化に向けたIoT人材育成など、さらに磨きをかけて市場にマッチした技術者の育成に寄与したい」と述べた。
 続いて、今年初となる人材育成優良推進者への特別表彰を実施。MCPCが主催するモバイルシステム技術検定やIoTシステム技術検定、ワイヤレスIoTプランナー検定を活用して人材育成に貢献したとして、株式会社コスモスと早稲田大学に特別表彰状を授与した。
 コスモス社は、人材派遣事業で通信業界に特化した専門性・スキルを有するエキスパート人材に対し、MCPCモバイルシステム技術検定とIoTシステム技術検定を社内推奨資格として認定し、人材育成に熱心に取り組み、社員のスキルアップと自己啓発に努めたことを評価した。
 早稲田大学は、文部科学省「成長分野を支える情報技術人材の育成 拠点の形成エンピット」の補助事業としてスマートエスイーを2018年に開校。その入学資格は、 MCPC・IoT システム技術検定中級合格者、または合格者と同等の知識や実務経験を有することとし、MCPCのシステム技術検定を高く評価、MCPCからの講師の招くなど、イノベーティブ人材の育成への功績を評価した。
 表彰式では、安田会長がそれぞれの代表者に表彰状を授与。このうちコスモス社の田部正美代表取締役社長は、「このような素晴らしい賞をいただき大変光栄。コスモスは人材派遣会社としてNTTが誕生した1985年に設立した。人材派遣法が施行された年でもあり、今年で40年目を迎える。当初から登録型の一般派遣事業を中心に事業展開してきたが、2011年より通信業界に特化した技術者派遣を進めてきた。信頼されるためには経験だけでなく、資格も必要とされており、そのころからMCPCに支援をいただき推奨資格として取り組んできた成果が評価された。これからも社員が信頼できる環境を整えてスキルアップしていきたい」と喜びを語っていた。
 来賓代表として、総務省総合通信基盤局の湯本博信局長は、「総務省では電波政策を重点施策として色々な取り組みを推進している。地上のみならず宇宙など様々な空間にいたる電波利用の活性化に向けて制度整備や予算支援、産業活性化に取り組んでいる。それを支えるのは人材。成長分野である電波でも例外ではない。その中で皆さんの取り組みは一言では表せないくらいに社会的に、経済活性化において高い意義を持っている。総務省としても引き続き必要な支援をしていく」と話していた。

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。