一般社団法人ドローン減災士協会特別インタビュー

一般社団法人ドローン減災士協会(DEO、兵庫県佐用郡佐用町豊福278番地、木村玲欧代表理事〈兵庫県立大学環境人間学部・大学院環境人間学研究科教授、国立研究開発法人防災科学技術研究所客員研究員〉)は、ドローンを活用して減災に取り組むため、災害の知識およびドローンの知識と技術を兼ね備えた「ドローン減災士」を育成し、その資格を認定している。DEOは、「ドローン減災士」の育成とサポートをはじめ、災害時等における支援活動など、ドローンを活用して防災・減災を行うさまざまな活動に取り組み、安全安心な社会づくりを目指している。同協会の前田稔朗事務局長に協会設立の経緯や活動内容、今後の取り組みなど話を聞いた。

――ドローン減災士協会設立の経緯をお聞かせください。
 「スクール事業やドローン利活用事業を展開する株式会社T&T(兵庫県赤穂市、前田稔朗取締役会長)は、2017年9月に兵庫県佐用町の旧江川小学校を利用してJUAVAC(一般社団法人日本UAV利用促進協議会)ドローン エキスパート アカデミー兵庫校を開校しました。阪神大震災や佐用町水害を身近に経験しており、減災・防災にドローンを活用できるのではと思い立ったのが最初です。ドローンスクールを運営していく中、神戸大学の鈴木広隆教授との出会いがあり、鈴木教授から神戸大学減災デザインセンターで一緒に減災・防災を研究している槻橋修教授を紹介していただきました。槻橋教授と最初に取り組んだのは19年4月、神戸発のクロスメディアイベント『078KOBE』でのドローンによってこいのぼりが空高く泳ぐ『こいのぼりドローン』による避難誘導でした。終了後のアンケートでは気づかない人が多く、改良の余地があると奮い立ちました。その後鈴木教授、槻橋教授とともに『減災ドローン研究会』を立ち上げ、『ひょうご防災連携フォーラム』や赤穂市防災訓練に参加しました。赤穂市防災訓練では、『こいのぼりドローン』に加え、ドローンにスピーカーを搭載して災害時の放送等を行う『スピーカードローン』を飛ばしました。今度はほとんどの人にドローンによる避難誘導を認知してもらえました。ドローンによる物資輸送訓練『物資輸送ドローン』も活用し、災害時のドローンの有用性を感じました」。
 ――続いて人材育成や育成場所の確保を進められました。
 「兵庫県が令和元年より実施している『ドローン先行的利活用事業』に槻橋教授の勧めで応募し採択され、兵庫県の防災訓練に数多く参加できたことや、『ひょうごクリエイティブビジネスグランプリ2020』で奨励賞を受賞したことが大きな励みになり、減災・防災の分野でドローンへの期待が官民ともに高まってきていることを感じました。そこで次のステップ『人材育成』へ踏み出すことにしました。槻橋教授を中心に槻橋ゼミ生の協力を得て『ドローン活用減災士』のマニュアルを作成しました。次は育成場所の確保です。公的組織が必要だと考えてT&Tは21年4月、ドローンを活用した防災・減災活動を行うドローン減災士の育成を目標とした一般社団法人ドローン減災士協会(DEO)を設立しました。兵庫県立大学で長年減災に取り組んでこられた木村玲欧教授(DEOの代表理事)、兵庫県防災士会の室﨑友輔氏も理事として加わって、ドローン減災士の教本が作成されました。全国でドローン減災士を育成していくために、全国、ひとつの都道府県に1校を目指しDEOのパートナー企業を募集し、現在は39都道府県にDEOのドローンスクールがあります」。

全文は12月18日付け5面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。