Web媒介型サイバー攻撃対策計画で実証実験 NICTなど

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及びKDDI総合研究所、セキュアブレイン、横浜国立大学、神戸大学、構造計画研究所、金沢大学、岡山大学は、NICTの委託研究「Web媒介型攻撃対策技術の実用化に向けた研究開発」(「WarpDrive」)において、「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」と連携して、Webを媒介とするサイバー攻撃の実態把握と対策技術の向上のため、ユーザー参加型の実証実験を始めたと発表した。 サイバー攻撃は多様化・巧妙化を続け、Webサイトを閲覧するだけでマルウェアに感染するWeb媒介型攻撃による被害も後を絶たない。Web媒介型攻撃は、特定のWebサイトを閲覧したユーザーに対してのみ攻撃が行われるため、受動的なサイバー攻撃観測網ではWeb媒介型攻撃の実態把握や迅速な対策展開が困難だった。 そして、Web媒介型攻撃の実態把握と対策技術の向上のため、KDDI総合研究所、セキュアブレイン、横浜国立大学、神戸大学、構造計画研究所、金沢大学、岡山大学は、これまで「WarpDrive」に取り組んできた。「WarpDrive」ではアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズに登場するキャラクター「タチコマ」をモチーフに、Web媒介型攻撃対策ソフトウエア「タチコマ・セキュリティ・エージェント」 (タチコマSA)を開発。タチコマSAは①ユーザーのWebブラウザの中でWeb媒介型攻撃の観測・分析を行い②攻撃検知時には悪性Webサイトの閲覧をブロックし③ユーザーに警告やアドバイスを行う。さらに、インターネット上に分散したタチコマSAたちが④並列化(情報集約・横断分析・新機能展開等)を繰り返し、最新のWeb媒介型攻撃に対応する。 今回、「WarpDrive」はユーザー参加型の実証実験を開始。WarpDriveポータルサイトにおいて、Windows版およびmacOS版のタチコマSAを、一般ユーザー向けに無償配布している。タチコマSAをインストールすると、セキュリティ機能に加え、攻殻機動隊のコンテンツや同作をモチーフにしたWeb空間の可視化等も体験できる。「WarpDrive」は、この実証実験を通して「電脳空間におけるタチコマ・リアライズ」を進め、Webの安全性向上を目指す。 「攻殻機動隊」は、1989年に士郎正宗氏によって生み出されたSF漫画作品。