アンリツ、本社施設 「ANRITSU 5G LAB」で実証環境提供

 アンリツ(濱田宏一社長)はこのほど、「電波タイムズ」に神奈川県厚木市の本社施設を公開した。同社は、1Gから5Gへと急速に進化してきた通信技術の発展を様々な計測器で支えてきた。「ANRITSU 5G LAB」は、顧客やパートナーと分野を超えたイノベーションを共創する空間とし、顧客に向けて理解促進支援、技術実証支援を行っている。また、PQA事業のサンプルテストルームは、食品異物混入などを防ぐX線検査機などを多数取り揃え業界に貢献している。

最初の見学は、本社入口近くのギャラリーで、アンリツの創業以来の歴史を実機などの展示で紹介している。アンリツは、マルコーニが無線電信を世界で初めて成功させた1895年に創業した。1912年(明治45年)に前身の安中電機が逓信省電気試験所のTYK式無線電話機を製造。1925年(大正14年)には、安中電機が東京中央放送局愛宕山送信所第2設備用として国産初の1kW放送機を製作。1927年(昭和2年)に国産初のA形交換機用の自動式公衆電話機を開発。現在のテープレコーダーの中核技術となった交流バイアス式磁気録音機も開発した。日本の情報通信の黎明期を担い、その後も時代の変化や社会、顧客のニーズを汲み取った製品を生み出し、社会の発展に貢献してきた。
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 続いて「ANRITSU 5G LAB」の見学を行った。同ラボは顧客やパートナーと分野を超えたイノベーションを共創する空間である。無線・光・IP通信、モバイルブロードバンドやIoTの最先端分野において、アンリツが培ってきた情報通信や計測技術などの知見を活かし、顧客の課題を解決するソリューションを提供している。
 今回はローカル5Gに特化した公開となった。
 ラボでは『見学』と『評価』の2つのサービスを提供している。『見学』では、フィールドマスタ、エリアテスタ、ネットワークマスタなどの測定器にて、電波の遮蔽・反射の影響やビームフォーミングの動きを可視化、また受信電力の変化に伴うスループットや遅延の変化を可視化など、目に見えない電波を可視化。ローカル5G電波の特性や仕組みを理解してもらう。①低遅延カメラ、自律走行ロボット、ドローンなどのデモを通じて、ローカル5Gの特長を実体験②製造現場の映像、センサー、生産プロセス情報を集約監視できるスマートファクトリー向け工場監視ソリューションを紹介した。
 『評価』では、顧客持ち込み機器の接続確認・動作検証で①接続性確認(基地局←→端末)②測定器を活用した受信電力、遅延、スループット測定③他社製端末との性能比較―などとなっている。ラボ内評価サービスの特長は▽評価に役立つ様々な測定器を使用可能▽サポート技術者による測地のアドバイス―が挙げられる。
 受信電力、受信品質、信号対ノイズ比をみる「ML8780J」エリアテスタ、リアルタイムスペクトラム解析を行う「MS2090A」フィールドマスタ、スループットや遅延、ジッタ、フレームロスをみる「MT1000A」ネットワークマスタが対応機器。

写真は ラボ施設では電波の可視化で遮蔽物による影響などのデモを見せた

全文は1月1日付けに掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。