イートラスト、能登半島被災地で緊急稼働
イートラスト(東京都台東区、酒井龍市代表取締役社長)は、地震や大規模豪雨などの被災地における二次災害の予兆や救助作業の進捗などの監視を目的とした災害緊急対策用可搬型監視カメラ「ETM001c(台車仕様)」および「ETM001b(山岳仕様)」の開発・拡販に取り組んでいる。本製品はソーラーパネル(または燃料電池)、カメラ、バッテリーの3つの機器から構成され、24時間体制で動画による監視を行うシステム。撮影動画はLTE回線の他Starlink(スターリンク)などを含む通信回線を通じてクラウドサーバーへアップロードされるため、通信インフラが断絶した災害現場においても稼働、遠隔で現地の状況を確認することができる。またカメラや電源などすべての機器が1台の台車に収まるコンパクトな設計となっており、損壊した市街地や山岳など、車両の進入が困難な場所にも人力のみで持ち込める可搬性を備えている。2024年1月に発生した「能登半島地震」、同年9月に発生した「令和6年9月能登半島豪雨」の際には、北陸地方整備局からの依頼を受けて被災地に数台が配置され、現地の復旧作業などの進捗状況を監視した。こうした被災地での稼働実績を踏まえて、昨年イートラストは「自治体・公共Week スマートシティ推進EXPO(6月・東京ビッグサイト)」「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2024(10月・東京ビッグサイト)」等の展示会を通じて製品の周知を図ってきた。今後も高い機動性や設置の容易さなどの特長をPRすることで、災害の発生が懸念される地域への導入に繋げていきたい考えだ。
災害緊急対策用可搬型監視カメラ「ETM001c(台車仕様)」は、河川の氾濫や決壊、土砂災害、道路の崩落など、緊急時に監視が必要となった場所に幅広く対応できる汎用性が高い監視カメラシステム。バッテリー、ソーラーパネルや燃料電池、カメラなどの必要な設営材料のほとんどを台車の中に収まるよう設計し、移動効率を上げる超コンパクトサイズを実現した。また、工具不要の設計となっており、極めて短時間で設置を行うことが可能。災害時の緊急性に十分応えられる監視カメラ機器だ。
災害緊急対策用可搬型監視カメラ「ETM001b(山岳仕様)」は、重機、車両などが立ち入りできない場所でも人が歩いて行ければどこでも設置可能だ。多少の重量はあるものの数人で必要なすべての資材を背負い運ぶことができる。またソーラーパネルは、地面に固定する形式のほか、木や既設柵への括りつけなど、現地環境にあわせた柔軟な設置が可能だ。基本的な性能は「ETM001b(山岳仕様)」と同様で、近年頻発する大雨、地震による土砂災害現場などの監視に向いている。
両製品の特長は次の4点である。①迅速かつ効率的な運搬=超コンパクト設計で小さな台車にすべてを搭載。現場まですばやく運搬できる②「ETM001b」の設営時間は約15分、「ETM001c」の設営時間は約10分=いずれも従来の監視システムの約10分の1の時間、かつ工具を使ったことのない人でもすばやく設営できる③インフラ環境の厳しい場所でもOK=電源や通信線などが不要。現場環境に合わせて、ソーラーパネル、燃料電池、携帯回線、衛星通信(「Starlink」)なども利用可能④設営はたったの4ステップ=運搬→設置場所決定→組立→設営完了の4ステップで完成する。
写真は 能登半島地震発生後、石川県内の土砂崩れ現場における復旧現場を監視
全文は1月1日付けに掲載
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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