千 社員の声をできるだけ取りいれ制度を整備 働き方の選択にフレキシブルに対応

 千(東京都千代田区、千葉伸明社長)は、2004年10月に設立され、インターネット写真サービス「はいチーズ!」事業を中心に、企業向け写真撮影(Web用、パンフレット用、証明写真など)、個人の記念写真撮影(出張撮影)、卒園・卒業アルバム制作など幅広く展開している。 主力事業の「はいチーズ!」は、幼稚園・保育園で行われるイベント(運動会、卒園式等)や日常保育の風景をプロのフォトグラファ−が撮影し、その写真を、ご家族や遠方の祖父母に、インターネットを活用して24時間どこからでも閲覧・購入できるサービス。幼稚園・保育園以外にも、小学校・中学校・高校などの学校法人、企業や各種団体にもサービスを展開している。 2018年度より新たに「はいチーズ!Creative Works」を立ち上げた。「はいチーズ!」のクリエイティブスタッフが提供する、ドローン、360度・VRなどで撮影、映像制作、Webサイト制作サービス。これまで、全国で数々の園・学校のイベント撮影を行ってきた同社だからこそできる、園や学校の魅力、子供たちの豊かな表情を様々な形で提供するもの。商材のひとつである「ミライアルバム」の収録は4Kで行っており、制作期間は2~3週間。映像は25分~30分と5分の2バージョンがある。映像はストリーミング(YouTube)もしくはダウンロードが可能。◇ 千では、自社で働く社員をサポートするため、様々な取り組みを行ってきたが、働き方改革のその流れの一環として実施している。働き方改革への取り組みについて、同社人事室マネージャーの楠本彩香氏は「法改正に対応する部分もありますがそれ以前に、急速に人員も増加しているため、それに適応できる体制へと少しずつですが整えてきたところでした。弊社が強みとするベンチャー企業マインドを保ちながらを企業規模に応じた体質へと変換を進めていたところに、働き方改革の方向性も取り入れて、アウトプットできるものはしていこうと考えています。 中途入社の方が増えてきて、年齢が比較的上の方も多く、そういった方々が前職で勤めていた企業の働きやすい環境や制度などを参考にしています。ちゃんとコンサルを入れてやった訳ではなく、自前な感じではありますが、社員に必要とされている制度から少しずつ進めています。大企業的のように制度が完璧に整っていると勘違いされると困るので、入社の際には割と赤裸々に実情をお話ししています(笑)。 制度について、少しご紹介します。休日や休み時間などは通常、午前休、午後休、全休しかない場合が多いと思います。以前より1時間だけ、2時間だけ取りたいという要望が有りました。1時間だと計算が難しくなるので、2時間休という制度を設けました。取る時間はいつでも構わないので、朝2時間遅く出勤する人や、2時間早く帰る人、お昼休みに2時間加えて3時間の休みにする人もいます。このようにパフォーマンスが出やすい環境を重要視し、休みについては融通が利くようになっています。その一環としてお子様関連でお休みや勤務時間をずらしたり、在宅勤務などについても、取り入れてきました。これらは会社が全部主導するのではなく、社員の皆さんの声を定期的に集めて、そこから実現できて、管理もできるものを制度として採用する形になっています。ユニークな試みとしては、お子さんと農業体験をしたら楽しかったという話が社内であり、千葉県の農業体験ができるファームと契約して、イベントがあるときは会社の名義で予約して行ってもらえるようにしました」と語る。また、子ども学校行事や看護のために特別有給休暇の取得ができる「キッズデイ休暇」(半休休暇を年間5回まで取得可能)の制度も設けている。 この他、働き方の選択できるのが大きなメリットとしている。専門職でない部署でかつあまり時間の融通が利きにくい部署に在籍していた場合、例えば産休明けで戻ってくる際に、時間の融通の利きやすい部署への配属も検討を行うなど柔軟に対応している。「実際、バックオフィス業務で時間に縛りがあり、フレックスにはしにくい方が年内に復帰予定ですが、本人の希望として働き方が自由な別の仕事を担当してもらうことになりました。また、勤務場所もオフィスと在宅を組み合わせて働いてもらっている方もいます。本人が働きたいというのであれば、会社としては何時に働いてもらってかまわないです」(楠本氏)と述べる。 子どもに関する福利厚生では、「キッズ在宅」(子どもの急な発病や登校禁止期間の際に在宅勤務ができる)や「キッズリモート」(子どもが保育園に入園するまでの間、育児を目的とした在宅勤務ができる)、「アニバーサリー・イベントフォト撮影」(社員の親族『二親等まで』を対象に、記念イベントを無料でプロカメラマンに撮影してもらえる)などの制度も用意している。これらについても、社内からの要望に基づいて制度化されたものがほとんどで、できるだけ社員の要望に応えようとする同社の姿勢がうかがえる。一方、これらの制度を活用して社員が様々なイベントや人々とふれあうことで、保護者などの生の意見を聞くことができ、それらを「はいチーズ!」などのユーザビリティ向上に役立てようとしている。 社員が働きやすい環境を整えることで、定着率が高まるだけでなく、外部のニーズを取りいれるなど好循環を生み出している。今後も社員から意見を募りつつ、働きやすい環境を提供することを目指していくとしている。