アンリツ、濱田宏一代表取締役社長グループCEOに聞く
アンリツ(神奈川県厚木市)は「『はかる』を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。」を経営ビジョンに掲げて事業を展開している。2024年~26年の3ヵ年中期経営計画では『新領域ビジネスの成長を加速』『6Gで先行する』を打ち出し売上高1400億円、営業利益率14%を目指している。また、30年に向けた経営計画では『6G+新領域のビジネスで安定した収益をあげて売上高2000億円企業を目指す』としている。濱田宏一代表取締役社長グループCEOに3ヵ年中期経営計画の進捗状況など話を聞いた。
――3ヵ年中期経営計画(GLP2026)基本方針では『26年度の営業利益の25%を通信計測以外で創出』『新領域ビジネスの人材強化、全社での人材育成体制を構築』などを掲げられています。2024年度は3ヵ年の初年度ですが、目標である売上高1400億円達成に向けて、ここまでの手応えをお聞かせください。
「5G関連が少し伸び悩んでいる。6Gがビジネスとして成り立つのが我々の見通しで27年頃からで、この3ヵ年は5Gと6Gの端境期となる。我々は30年に向けた経営計画(FY2030)で売上高2000億円という目標を掲げている。5G、6Gのモバイルビジネスだけに頼っていては2000億円にはなかなか到達できない。目標達成には新規事業が育つことが必要。通信計測以外の事業を成長させるために非常に重要な3年間となる。ここで当初の計画通り実行していくことで、その後に6Gのビジネスが立ち上がって、2000億円が射程に入ってくる」。
――3G、4Gの通信計測需要で経験したことを活かしていくと聞きました。
「過去を振り返って、3G、4G関連の通信計測需要が落ちてくると、会社全体の売り上げも利益もガタっと落ち込む状況を繰り返していた。そうした経験から考えると今の5Gの状況は、3G、4Gのときのほぼボトムに近い状況である。フラットな状況で、少し右肩上がりをキープできている。通信計測事業で落ち込んだ分を他の事業でカバーすることは過去になかった。5Gは非常に利益率が高い市場。新規事業は5Gと比べると利益率においてはかなわないが、全体の売り上げをカバーできるレベルになってきた。1年目の上半期までは、過去にないこの状況を作り出してきている。この時期にきちんと新しい事業を立ち上げて、モバイルビジネスだけに頼らずに新規事業の柱をいくつか立てながらしっかり育つようなビジネスを展開中だ。3ヵ年1年目でその成果が見えてきている」。
――FY2030の目指す姿では『6G+新領域のビジネスで安定した収益をあげる』と打ち出しています。『6Gと3つの新領域ビジネスの成長をグループ横断で加速する』としています。6G及び新領域であるEV/電池、産業計測、医薬品/医療それぞれのカテゴリーで、今後のビジネス成長の〝芽〟となるソリューションをご紹介ください。
「6Gは27年からビジネスが始まると予測しているので、今の3年間はそこに向けてきちんと準備をする、基礎的な研究を行う期間だ。社外の研究機関とも協力しながら、新たな6Gの基礎技術を確立しようとしている。例を挙げると、6G時代に求められる周波数利用効率のさらなる向上を実現する技術として、複数の通信を同一周波数で同時実行する帯域内全二重通信方式(IBFD、In―band Full―duplex)を研究している。簡単にいうと、今の携帯電話は通信しようとすると、上りと下りで違う電波を使う。違う周波数の電波で下りは皆さんいろいろなデータを見るので、たいへん多くのデータが流れている。上りはページを変える時だけ少しデータが流れるのであまり使っていない。効率良く電波を使用するには、ひとつの電波で上り下りをAI技術も使って同時実行する方式が最適でその研究を行っている」。
全文は1月17日付け4面に掲載
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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