「NEC Innovation Day」 「ゲートレス生体認証システム」を開発

NECは、研究開発と新規事業創出における戦略説明とその最新技術のデモンストレーション展示を紹介する「NEC Innovation Day」を、11月30日にNEC玉川ルネッサンスシティ(神奈川県川崎市)で開催した。 NEC は、混雑の原因となるゲートを取り払った新しいコンセプトの入場管理である「ゲートレス生体認証システム」を開発した。多人数が通り抜けて認証するデモンストレーションを行った。このシステムは、世界ナンバーワンの顔認証技術と、カメラから顔や体の一部が見えない人物でも外観画像から高精度に照合する人物照合技術を組み合わせ、予め設定した入場エリア内のカメラ映像から同一人物を追跡し顔を捉えた時点で顔認証することで多人数のリアルタイムな認証が行える。ボトルネックとなっていた一人ずつ通過させるゲートを用いず、多人数が自然に歩いて入場しても認証できるため、混雑を緩和し利用者に負担のないスムーズな入場を実現する。 テーマパークやオフィス・工場などで入場口に多人数が集中した際には、フラッパーゲートや警備員のいる通用門を通過するための長い行列ができるなど混雑が発生する。同システムでは、一人ひとりを立ち止まることなくスムーズに認証し、事前に顔画像を登録していない人が通過した場合、利用者の頭上や床面などに設置したディスプレイで視覚的にアラートを示すことができる。また、認証時には、事前にダウンロードしたアプリやメールで本人に認証完了したことが通知される。これにより、利用者と警備員それぞれが入場エリアでの認証の可否をその場で簡単に把握することができる。 システムの特長は次の通り。 ①カメラ一台の認証設備で多人数の同時認証が可能=服装の特徴で照合する人物照合技術と動きの特徴で追跡する技術を併用することにより、リアルタイムに多人数の追跡を実現する。これと顔認証を組み合わせることにより一台のカメラで1分間に100人以上を認証することができるため、入場エリアでの混雑の緩和に貢献する②自然に歩いていてもスムーズかつ高精度な認証を実現=NECの生体認証「Bio―IDiom」(バイオイディオム)の中核技術であり世界ナンバーワンの顔認証技術により、意識的に顔をカメラに向けることなく自然に歩いていても本人の認証を可能にし、利用者に負担のないスムーズな入場を実現する。また、マスクを着用していても認証できるため、セキュリティを保ちながら高い利便性を実現する。 NECは今後、テーマパークやイベント会場、オフィス・工場における入退管理に加えて鉄道の自動改札のゲートレス化などの様々なシーンでの活用検証を進め、2024年度の実用化を目指す。 「多人数をリアルタイムに認証し、ゲートのないスムーズな入退場が可能になる。動きや服装の特徴を使って人物を追跡・認証し、動線にしばられない自由な入退場を実現する。多人数同時認証で混雑緩和につながる。特別なアクション不要でストレスフリー、シームレスに認証する、将来的には、ゲート通過待ちの行列やカードタッチの処理待ちがない快適な顧客体験を提供できる」(NEC)。(全文は12月9日付2面に掲載)