NII、画像識別AIの誤識別リスク 効果的・効率的に低減する技術を開発

情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII、東京都千代田区、喜連川優所長)は、九州大学とともに、画像識別AIの誤識別に対するリスクを効果的・効率的に低減する技術を開発したと発表した。同研究成果は、科学技術振興機構(JST、東京都千代田区、橋本和仁理事長)の未来社会創造事業「Engineerable AIプロジェクト」によるもの。 深層ニューラルネットワーク(DNN)では、多数のパラメーターが異なる物体の識別結果に対して複雑に影響するため、ある誤識別を改善するための修正が、他の識別結果に意図しない低下(デグレ)を発生させる問題がある。 同プロジェクトでは、役割の異なる複数のDNN修正技術を組み合わせ、画像識別用DNNを狙い通りに修正する研究開発を進めてきた。具体的には、様々な誤識別を分類し、タイプごとの原因と修正方法を発見する技術(NII)、パラメーター修正と誤識別改善の履歴情報を利用することで修正による低下を抑制する技術(NII)、パラメーター値だけでなくDNNの基本構造自体も修正する技術(九大)などに取り組んできた。 自動運転AI向けの実験では、自動車企業などを交えて定めた安全性ベンチマークで評価を行い、多数の安全要求を満たした上で狙い通りの修正が可能であり、効果的・効率的にリスクを低減できることを確認した。(全文は3月27日付け1面に掲載)