NECとJAL、自動運転バスの活用に向けた実証

 NECと日本航空(JAL)は、ドライバーの付帯業務の自動化・省人化を目指し、3月17日から、JALグループ社員が関連施設間の移動で利用している業務連絡バスの一部区間において、NECの通信・AI技術を活用した自動運転の業務システムや顔認証乗車システムの検証を行っている。
 近年、バスの運転手不足や利用者の減少により、全国的にバス路線の維持が困難になりつつあり、地域住民の生活圏内や観光客の空港・駅などのインフラ結節点における移動手段の維持・確保が課題となっている。こうした課題解決を目指し、両社は新たな移動手段として期待される自動運転車(自動運転レベル3以上)の活用を検討してきた。
 このほど、将来の自動運転車の社会実装に向け、ドライバーが担っている運転以外の付帯業務(乗車確認や案内など)の自動化・省人化の検証も含めた実証実験として、羽田空港整備地区で運行している業務連絡バスの一部区間において、運転支援車(自動運転レベル2)を運行する。
 両社は、実証の成果をもとに、地域の街や空港周辺の移動課題の解決として、最新のモビリティ技術を活用した新たな移動手段の提供を検討するとともに、将来的な自動運転技術の空港業務への活用や、顔認証などのシステム連携による、空と地上のシームレスな移動の実現を目指す。
 自動運転レベル2は、特定条件下での自動運転機能を指し、システムが縦方向と横方向の運動を制御することで、加速・減速や車線維持が可能だ。ただし、運転の主体はドライバーであり、常に車両の安全な運行の確認が必要となる。
 実施期間は3月24日(月)まで。車両はTIER Ⅳ社の「Minibus」。検証内容は①NECの世界ナンバーワンの認証精度を有する顔認証技術を活用した顔認証乗車システム②NECの遠隔見守りシステムを活用した走行状況のリアルタイム確認やバス社内外の安全確認③NECの学習型メディア送信制御技術を活用した電波環境の悪いエリアでのリアルタイムでの見守り。
 乗車の流れは①乗車予約:JALグループ従業員専用アプリケーションから乗車を予約②顔認証・乗車:顔認証による本人認証を実施して乗車。

写真は 運行車両イメージ

3月24日付け5面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。