アンリツグループ、ドローン飛行実証で電波環境・通信品質測定に貢献

 アンリツ(濱田宏一代表取締役社長)とグループ会社のアンリツカスタマーサポート(高橋宏之社長)は4月7日、トラジェクトリー(小関賢次代表取締役社長)が石川県加賀市で実施した「4次元時空間情報基盤」を活用したドローン飛行実証において、電波環境および通信品質測定に貢献したと発表した。
 同実証は、トラジェクトリー社が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/3次元空間情報基盤に関する研究開発」において、地域の通信品質・電波強度の空間IDによる管理およびエアリスクを考慮したルート作成を研究、検証するもの。
 アンリツおよびアンリツカスタマーサポートは、この実証において、加賀市上空の電波環境および通信品質を測定した。
 ドローンの飛行には無線通信が使用されるため、飛行ルートには安定した無線通信環境が必要だ。アンリツグループは、独自の製品力と高度な測定技術を活かした「はかる」ソリューションを通じて、ドローン飛行を支える通信環境の整備を促進し、ドローンサービスの社会実装に貢献する。
 トラジェクトリー社は、ドローンのAI管制システムの開発を行ぅている。加賀市とは2019年7月26日に連携協定を締結した。
 ※4次元時空間情報基盤:異なる種類の4次元時空間情報(地上、空中、地下等のあらゆる空間に存在する地物、事象、移動体等の空間上の特定の地点または区域の位置や時間を示す情報および同情報に紐付けられた情報をいう)を簡易に統合・検索し、軽量に高速処理できる仕組みとして、異なる基準に基づいた4次元時空間情報であっても一意に位置を特定できる4次元時空間IDを検索キー(インデックス)として導入し、鮮度の高い様々な4次元時空間情報を高速に自動的に結合することや、簡単に検索することができるようにする仕組みであり、運用者の異なる複数の空間情報システム、カタログシステム、認証基盤、リポジトリ等から構成される。
 ※産業DXのためのデジタルインフラ整備事業:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が行うこの事業では、デジタルインフラ整備の対象として①3次元空間情報基盤②次世代取引基盤③システム全体の安全性確保④サプライチェーンマネジメント基盤⑤スマートビル基盤⑥デジタルライフラインの先行実装基盤に係る取組を実施している。
 研究開発内容は①3次元空間情報基盤=多様なデータ形態の空間情報を効率的かつ相互運用的に流通するため、特定の空間領域を識別するための識別子を「空間ID」として定義し、空間IDを通じてデータを連携する基盤を構築する②次世代取引基盤=効率的な取引業務の遂行、取引データを活用した新たなサービス創出を行うため、受発注、請求、決済に関わる一連の企業間取引をデジタル完結可能な取引基盤を構築する③システム全体の安全性確保=様々なシステムが複雑に相互接続した際の課題(事故の予見や原因特定が困難等)に対応するため、システム全体の安全性及び信頼性を確保するデータ連携基盤を構築する。また、複数の関係者が絡むユースケース実証を通じて、新たなガバナンスのあり方を研究する④サプライチェーンマネジメント基盤=社会課題(カーボンニュートラル等)や経済課題(サプライチェーン断絶等)が複雑化している中、その解決を支えるため、企業間でデータ共有・利活用ができるデータ流通基盤を構築する⑤スマートビル基盤=建物の価値を向上し、データドリブンなサービスを創出するため、ビル同士あるいはビルとIoT・AI・ロボットなどの多様なデジタルエージェント等とを連動するビルデータ基盤を構築する⑥デジタルライフラインの先行実装基盤=人口減少が進む中でも生活必需サービスを維持するため、自動運転やドローン等のデジタル技術を活用したサービスの基盤となる「デジタルライフライン」の先行実装を推進する。

4月14日付け4面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。