NICTが「CEATEC 2022」に出展 2030年以降の未来生活とは?
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、10月18日~21日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で行われた「CEATEC 2022」に出展した。トータルソリューションエリアにおいて、「Beyond 5Gで実現するすべてが繋がる未来社会」をテーマに、その実現に必要不可欠な「4つの研究領域(Beyond 5G/AI/量子情報通信/サイバーセキュリティ)+オープンイノベーション」の研究を紹介した。別のブースのスタートアップ&ユニバーシティエリアでは、起業家甲子園・起業家万博や過去起業家甲子園出場者/NICTベンチャーを紹介した。トータルソリューションエリアでは『Beyond 5Gによって実現される2030年以降の未来生活とは?』『Beyond 5Gを目指したテラヘルツ帯無線伝送基盤技術』『プライバシー保護連合学習技術DeepProtectの社会展開』『NICTの多言語コミュニケーション技術~「言葉の壁のない世界」が見えてきた~』などが注目を集めた。NICTでは、2030年以降の未来生活の基盤となるBeyond 5Gの実現に向けて、広い分野にわたる研究開発が行われている。Beyond 5Gを支える技術に加え、多種多様な機能をオープンに組み合わせるための仕組み(アーキテクチャ)についても検討している。『Beyond 5Gによって実現される2030年以降の未来生活とは?』では、NICTの有志が集まって2030年以降の社会生活をイメージし、物語形式でシナリオを描き、それから必要な要素技術を洗い出した「Beyond 5G/6Gホワイトペーパー」を紹介する動画や、そこで記載されているシナリオ「サイバネテック・アバター・ソサイエティ」「月面都市」「時空を超えて」の動画を上映した。『プライバシー保護連合学習技術DeepProtectの社会展開』では、連合学習という機械学習の手法に暗号技術を融合し、秘密計算技術(準同型暗号技術)で実現したNICT独自のプライバシー保護技術「DeepProtect」を紹介。データの機密性やプライバシーを保ちつつ、複数機関が共同して学習モデルを構築することが可能になるという。NICTのサイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室とGMOサイバーセキュリティbyイライエ社が取り組んでいる。 このほど、「DeepProtect」等を活用して銀行5行と不正送金検知の実証実験を実施し、被害取引の検知精度向上や不正口座の早期検知を確認した。取引データを互いに開示することなく不正送金の検知精度を向上できるとし、今後も、より高い検知精度を達成するために実証実験を継続し、金融機関での実運用を目指すとしている。 『インシデント分析センターNICTERとスピンオフ技術の社会展開 ~DAEDALUS(社会展開事例製品名「SiteVisor(サイトバイザー)~』では、NICTが研究開発した対サイバー攻撃アラートシステム「DAEDALUS(ダイダロス)を商用化。マルウェアに感染したIoT機器やPCから送信される不正通信を検知して通知するサービスを紹介した。監視にはインシデント分析システム「NICTER(ニクター)の分散型大規模ダークネット観測網を利用している。ダークネットは、インターネット上で到達可能かつ未使用のIPアドレス空間のことを指す。 国内最大級のサイバー攻撃観測網による監視や、マルウェアに感染した機器の早期検知と通知、セキュリティ製品を導入できない機器にも対応、監視機器や制御機器の設定ミスの検知などが特長だ。 『NICTの多言語コミュニケーション技術 ~「言葉の壁のない世界」が見えてきた~』では、AIによる同時通訳や要素技術の社会実装の最新情報を紹介した。総務省の「グローバルコミュニケーション計画2025」に基づいた同時通訳の研究開発の推進と、多言語コミュニケーション技術の更なる普及と発展によって世界の「言葉の壁」をなくすことを目指している。同時通訳のデモンストレーションを動画で紹介した。一文の終了を待たず、ある程度意味的にまとまった部分が音声認識された段階で翻訳を行い、その結果の合成音声を出力している。文脈や話者の意図等を補う同時通訳の実現を目指す。想定シーンはセミナーや国際展示会等の講演や多言語による対面やWeb会議、熟練技術者等との遠隔協業など。(全文は10月24日付1面に掲載)
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