エアロセンスと日本無線が資本業務提携/VTOR型ドローンの性能向上図る

 自社開発の国産産業用ドローンとクラウドサービスを組み合せて企業や自治体などにソリューションを提供するエアロセンス(東京都文京区、佐部浩太郎社長)と総合防災サプライヤーの日本無線(東京都中野区、小洗健社長)はこのほど、ドローン関連機能向上を目的とする資本業務提携契約を締結し、両社協働により携帯電話回線圏外エリアでのVTOL型(垂直離着陸型固定翼)型ドローン「エアロボウイング」による飛行・点検を目指し、安全・安心な国土づくりに貢献すると発表した。具体的には、長距離・長時間飛行可能なエアロセンスの「エアロボウイング」の性能向上を図り、JRCが同機を活用することで国の行政機関の防災・点検の支援体制の強化及び拡充を図る。 エアロボウイングは、国内のドローン業界初となる垂直離着陸型固定翼ドローンとして2020年10月に発売し、航続距離は最長50kmを誇る。同機は既に広域・長距離での監視業務などに様々な企業や自治体などで活用されている。飛行中の映像認識や機体の制御には携帯電話回線網の上空利用により、長距離・広域での運用の機会が広がったが、山岳地帯や海域、緊急時などの利用には課題もあった。日本無線の無線技術を活用し携帯電話回線圏外での飛行を可能とすることで、ドローンの活用範囲拡大につなげる。 国人の生活、社会活動、経済活動を支えるインフラ機能については、インフラの建設・整備のみならずその維持管理や災害対応も求められている。一方で建設業の就業人口は減少しているとともに高齢化が進んでおり技術継承、担い手確保が課題となっており、国土交通省はこれらの課題の解決に向けて「インフラ分野のDXアクションプラン」をまとめて取組みを進めている。 その中には、ダムや砂防施設などの点検、河川監視、被災状況調査など、様々なシーンにおけるドローンの活用が示されている。特に河川監視などに利用するドローンにおいては長距離、長時間の飛行が有用でありエアロセンスの保有するVTOL技術が有効となる。 国内のドローン業界においては、2022年12月を目処に有人エリアにおいて目視外飛行、夜間飛行でドローンが飛行できる“レベル4飛行”の航空法改正案が施行される予定で、実質の規制緩和に向け各ドローンビジネスを展開する企業においては機体の多様な有効活用での対応が急務となっている。 エアロセンスは、ドローン及びAI(人工知能)技術を取り入れた自動化システムの開発を手掛けている。建設分野で活用が進んでいるドローン測量においては自律飛行ドローンによる計測からクラウドコンピューターによるデータ解析までのワンストップサービスを『AEROBO測量2・0』として提供。2020年には長距離かつ広範囲の飛行が特徴のVTOL型ドローン「エアロボウイング」の販売を開始。広域での活用を実現し、企業や自治体などの測量/点検の課題解決に寄与するなど、ソリューションを提供する領域を拡大している。 日本無線は、創立以来培ってきた無線通信技術を基に幅広い製品やシステムを社会に提供している。特に防災分野においては日本初の気象レーダーの開発、ダムコントロールシステムの提供など総合防災サプライヤーとして防災減災に取組んでいる。両社は、エアロセンスのVTOL技術と日本無線が培ってきた水・河川管理に関する知見や保有する無線通信技術の融合によりインフラ分野のDX推進に寄与し、安全・安心な国土づくりに貢献していくとした。           ◇ ※エアロセンス:2015年に設立。「ドローン技術で変革をもたらし、社会に貢献する」をミッションに、高い技術力から生み出されるユニークなハードウェアとソフトウェアのソリューションを測量・点検・監視・物流などの分野で展開。ハードウェアの設計からクラウド・データ解析まで自社内の開発体制をフルに生かし、現場の人たちがボタン一つで簡単に仕事を進める事ができる“One push solution”を提供している。受託開発や現場で実証実験などを行い、各企業に新たな価値(働き方)を創る。