富士通 ローカル5Gビジネスの取り組み状況説明
富士通は、8月9日にリアルとオンラインによるハイブリッド開催で、同社が注力している事業分野の一つであるローカル5Gビジネスの取り組み状況に関する報道関係者向けの説明会を開催した。同社は2020年2月に国内で初めてローカル5Gの無線免許を取得して以来、様々な業種の顧客と技術検証を行い、ローカル5G向けソリューションのユースケースを創出してきた。説明会では、これまでの同社のローカル5Gの取り組み状況や最新のユースケースについて、紹介した。 富士通の森大樹グローバルソリューションネットワーク&セキュリティサービス事業本部5G Vertical Service事業部長が「サスティナブルな社会の実現に向けて ~5Gを活用したVertical Serviceの創出~」と題して次のように説明した。 わたしたちのパーパスは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことです。中長期的に今後10年を見据え向き合うべき最重要テーマは『デジタルイノベーションによってサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を進める』です。経営の優先課題としてサステナビリティが重要視されています。社会の持続可能性と企業経営自身の継続性、そこの両立をこれから取り組んでいく。そのSX遂行に不可欠な要素は『データ』『デジタルテクノロジー』。2つの要素を駆使して富士通のSXにも取り組み、お客様のSXも支援すると考えています。これからの10年を導くにあたってわれわれ未来のビジョンとして「ボーダレス・ワールド」というキーワードで掲げています。このビジョンは場所や時間、そういった制約にとらわれない世界を創りだすことで、企業経営の革新、実際に働く現場の革新、この両方につなげていきたいと考えています。 そのビジョン実現に必要なテクノロジーは『リアルとデジタルの融合』『ヒューマンセントリックネットワーク』の2つです。前者では「リアル世界のデジタルツインの技術」と、「エクスペリエンスのインターネット技術」(xR、メタバース)であり、これを中期的に融合していくことで、リアルとデジタルの融合されたボーダレスワールドの世界を実現していきたい。後者は、そういった技術を支えるネットワークがどうしても不可欠になってきます。リアル世界とデジタル世界をシームレスにつなぐ超高速のインテリジェントネットワークが支えるインフラが必要になってくると考えています。この2つのテクノロジーの両輪で、人のエンパワーメントの実現を目指していきたいと。そのためにわれわれとしてはテクノロジー、サービス、業種ナレッジを統合したバーティカルサービスを提供するスタンスで取り組んでいます。 次に富士通の取り組みの現在地について。人のエンパワーメント実現に向けた3つのテーマを掲げて富士通は取り組んでいます。それは①未来の働き方②尊厳ある生きかた③つながりあう体験―です。①は現場にフォーカスを当てて、省人化・自動化に向けたデジタル化への取り組みです。オフィスの働き方というよりは、例えば鉄道の現場、建設現場、工場のものづくりの現場。こういったところで様々なお客様と、パートナー様も含めて5G+バーティカルサービスの取り組みです。特化して説明するのは、先端技術『高精度位置測位技術』。5Gと映像を活用した高精度位置測位技術による働き方の革新です。これは屋内でも映像を活用してミリ単位の高精度な位置測位技術を開発しました。屋内の例えば工場や物流センターの狭い通路なども、ロボットを自動運転できる、あとは作業員の位置を高精細に把握する。作業員の行動の見える化や人の動線の見える化で現場の作業改善につなげられるような効果が見込める技術になっています。 ②はテクノロジーの活用で様々な制約からの解放に挑戦していきます。関西学院大学での院内学級での遠隔教育、福岡県田川市でのパラスポーツのリモートコーチングなどです。 ③は人々をエンパワーする全く新しい体験の創造です。ミクシィの臨場感ある映像配信、KDDIの新しいコミュニケーション体験です。KDDIとのメタバースへの取り組みでは、xR技術でリアル世界とデジタル世界を融合する。そこにいる人と遠隔にいる仮想空間に入ってくる人たちとがコミュニケーションできるといったことです。 これからの社会を支えるテクノロジーについて。 人の行動を置換・融合していく先端テクノロジーということで、人と目と耳はカメラと映像に置き換えられて、人の脳はAIに置き換えられる。人の行動はロボットに置き換えられると。これをスムーズに動かす、動きを支えるのが5Gのネットワーク、ワイヤレスネットワークで、われわれとしては神経網であったり血管だと表現していますが、こういったネットワークでキャリア5Gに加えてローカル5Gで置き換え、融合をさらに加速させると考えています。われわれは様々な作業現場で、この現場のデジタル化に向けてテクノロジーの期待は非常に高いが、デジタル化された現場がまだ日常にはなっていない。われわれとしては日常にしていきたい。5Gのネットワークだけでなく、AIやロボティクスの技術、そこが全てトータルでシームレスに繋がって、身近に感じていただける時が本格的に日常になると考えています。それを目指して富士通は継続的に取り組んでいきたい。 未来ビジョンの実現に向けて強化する取り組みは①あらゆる現場に未来の働き方を浸透②リアルとデジタルの融合領域の強化③未来のネットワークづくりの推進④ビジョンを共有するパートナーとの協働⑤ラボを拠点としたお客様との具現化の取り組み―です。 ◇ 続いて、「FUJITSUコラボレーションラボ」について、富士通の上野知行5G Vertical Service事業部シニアディレクターが説明した。 「FUJITSUコラボレーションラボ」の開設では、ローカル5Gパートナーシッププログラムを考えたところから始まっています。これを必要とした背景は、5Gを活用したDXの実現に向けて、テクノロジーやサービス、業種ナレッジを統合してバーティカル・サービスしていかなければ皆さまが使えるものにならない。実際にはリアルからデジタルの空間、これを統合したサービスをつくっていく。そのために皆さまの力が必要ということでパートナーシッププログラムを立ち上げました。実際には2020年10月に正式に活動を開始しました。バーティカル・サービスのユースケースの創出とソリューションの開発を行っています。接続検証プログラムとソリューション共創プログラムを立ち上げました。 「FUJITSUコラボレーションラボ」は、2020年3月、国内初の商用ローカル5G無線局免許を取得し開設しました。5G/ローカル5Gだけでなく映像AI、エッジ&クラウド技術者などが常時在席しています。開発の現場となっている。パートナー企業とのソリューション共創・PoC検証を164件実施しています。ラボ内にある検証用設備はローカル5Gではミリ波のNSA、Sub6のSA、スターターキットの3システムが稼動しています。ローカル5Gを活用していただくためにはその特長である大容量、低遅延で、ここを活かすためにはエッジシステムであると考えており揃えています。それからNTTドコモのキャリア5Gも入っている。ローカル5G接続デバイスは10種類用意しています。 次にパートナーとの共創活動事例について。 Acuity社との『映像AI技術×ローカル5G』は高精細映像を分析して、事象をデータ化、センシングする。 日本マイクロソフトとの『エッジ&クラウド×ローカル5G』はAzure IoT Edgeを活用したエッジ&クラウドシステムを実現する。エッジ&クラウドシステムの構築サービスを提供する。 トレンドマイクロとの『セキュリティ×ローカル5G』はローカル5Gのサイバーセキュリティソリューションを実現する。 富士通内の『映像伝送技術×ローカル5G』は高精細な4K映像を現場からローカル5Gで超低遅延で伝送することで、目視が難しい距離での現場状況や、詳細な状況をリアルタイムで認識可能だ。従来、現場でしか業務不可だった例えばQRコードを使った在庫管理は『現場に行かないと現品確認できない…』が、『映像伝送技術×ローカル5G』は高精細な現場映像を活用した業務として、4K低遅延カメラと富士通の放送用映像伝送装置「IP―HE950」を活用しローカル5Gネットワークで『目視困難な距離でQRコード処理が可能』なもの。ローカル5Gで得意な高精細な映像伝送を活用しました。人間の視覚をどう超えるか、視力のアップに繋げる。使っていけると見出したものです。 KDDIとの『リアルとバーチャルを融合したBtoBtoXサービス』は現場と遠隔地を融合した新しいコミュニケーション体験です。例えば、リアルストアユーザーとリモートユーザーが、バーチャルストア内でコミュニケーションしながら一緒にお買い物をするといったものです。 最後にSXを加速させるラボへ ~DXからSXの実現に向けて~。 オープン化でSXソリューション提供を加速させます。デジタルテクノロジー保有企業との共創を強化していきます。ビジネスパートナーとの協業を加速させます。SXを目指すお客様のコンセプトを検討。実証をパートナーと強力に支援します。また、オープンラボイベントを開催します。初回は2022年10月を予定しています。共創ラボ連携も拡充します。「TIS DIGITAL Innvation Center」や富士通那須工場の屋外検証環境などで拡充します。
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