NICT、Beyond 5G研究開発促進事業 新規委託研究の基幹4課題採択

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、徳田英幸理事長)は、Beyond 5G研究開発促進事業(一般型)のうち、令和4年度新規委託研究の公募(第2回)における基幹課題の4課題について、採択した。 研究開発課題に対する提案課題と提案者は次の通り。 ①Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する帯域拡張光ノード技術の研究開発(課題番号045)研究開発項目1「帯域拡張光送受信技術の研究開発」研究開発項目2「帯域拡張波長多重光ノード構成技術の研究開発」(研究開発項目1及び研究開発項目2への提案1件を採択)▽提案課題:光ネットワークのビットレート距離積拡張に向けた帯域拡張光ノード技術の研究開発、提案者:富士通(代表提案者)、NTT、古河電気工業。概要:Beyond 5G時代のデジタル社会を支える基盤インフラとなる光ネットワークの更なる進化に向けて、その性能指標であるビットレート・距離積を3倍以上に拡大する。150Gbaud以上を実現する光送受信機の帯域拡張によって、大容量光波長チャネルの到達距離を拡大するとともに、従来伝送網で用いられてこなかったS帯やU帯にかかる波長帯域も含む波長資源の拡大による大容量化を組み合わせた、帯域拡張光ノード技術を確立する。これによって、オールフォトニクス・ネットワークの適用範囲を拡大するとともに、光ネットワーク技術の国際競争力の一層の強化を図り、2030年代に期待される情報通信基盤を世界に先駆けて構築することで社会経済を支える。 ②Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する小型低電力波長変換・フォーマット変換技術の研究開発(課題番号046) 研究開発項目1「小型波長変換・フォーマット変換用低電力デジタル信号処理技術の研究開発」研究開発項目2「小型波長変換・フォーマット変換用フロントエンド技術の研究開発」(研究開発項目1及び研究開発項目2への提案1件を採択)▽提案課題:大容量光ネットワークの利用効率向上に向けた小型低電力波長変換・フォーマット変換技術の研究開発、提案者:NTT(代表提案者)、三菱電機、NEC、富士通。概要:Beyond 5G時代のデジタル社会を支える基盤インフラとなる大容量光ネットワークの更なる進化に向けて、光/電気/光変換により800Gbps以上の大容量波長チャネル毎に柔軟かつ小型・低電力で波長変換を実現する技術を研究開発する。波長変換と合わせて、変調方式、光信号帯域等を変更するフォーマット変換を実施することで空いた光波長リソースの有効活用を可能とし、大容量光ネットワークの利用効率の向上を実現する。現行技術 (既存100Gbps再生中継器)と比較して、ビット当たり、1/10の小型化および1/10の低電力化を実現する小型低電力波長変換・フォーマット変換技術を確立することで、将来の省電力・経済的な情報通信基盤を実現する。 ③Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する光ネットワークコントローラ技術の研究開発(課題番号047)研究開発項目1「光ネットワークのコントローラ技術」(研究開発項目1への提案1件を採択)▽提案課題:オンデマンドにEnd―to―End光波長パスの設定・管理を行う光ネットワークコントローラ技術の研究開発、提案者:富士通(代表提案者)、NEC、NTT。概要:オープンアーキテクチャに基づき、光ネットワークを構成する様々なベンダの機器を管理し、オンデマンドにEnd―to―Endで光波長パスの設定・管理を可能とする光ネットワークコントローラを実現する。実現するコントローラはスケールアウト可能なアーキテクチャを志向し、日本全域をカバーするため拠点数4000、総パス数100万、パス設定可否判定時間10秒の性能の達成を目指す。また、運用性・サービス性の向上にむけ自動制御シナリオを実行可能とし、既存の対応業務工数の50%削減を目指す。これにより、Beyond 5Gが目指す多種多様な通信サービスを低消費電力で提供するオール光ネットワークの普及促進に資する。 ④Beyond 5G超高速・大容量ネットワークの自律性・超低消費電力を実現するネットワークサービス基盤技術の研究開発(課題番号048)研究開発項目1「ネットワークサービス基盤技術」(研究開発項目1への提案1件を採択)▽提案課題:超高速・大容量ネットワークの一元的な制御や電源最適化を実現するネットワークサービス基盤技術の研究開発、提案者:NEC(代表提案者)、NTT、富士通、NTTドコモ。概要:ネットワークを構成する機器を仮想化してネットワークリソースの一元的な制御を可能とし、ネットワークの自律性を確保するとともに、電力消費の最適化を実現するため、無線基地局、ネットワーク交換機等の機能を仮想化し、一元的な制御や電源最適化を実現する技術の研究開発を実施する。 本課題については、令和4年4月28日(木)から同年5月30日(月)まで公募を行った。NICTは、学識経験者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、採択した。