歯周病のリスクをAIが診断 東北大学と口腔疾患を早期発見するAIを研究 NTTドコモ

 NTTドコモは2月21日に都内で記者会見を開催し、歯周病を早期発見するAIの共同研究を東北大学と共同で4月1日から開始すると発表した。 同研究は、歯ぐきをスマートフォンで撮影するだけで、歯周病を発見できるAIを開発するというもの。専門医が歯周病だと診断する特徴量をAIに落とし込むことで、歯ぐきの色や歯周病独特の形状などをAIが解析し、アプリ上で歯周病のリスクがあるのかどうかを判断。歯周病の検知は写真内で注目する場所を区切りながら判断するという仕組みで、症例には個人差があるものの、健全な部分と歯周病の部分では色や形状が異なるため、これらを比較しながらAIが判断を行うという。両者の役割は、NTTドコモはAIなどの技術提供や実利用環境に向けたアプリ開発を担当し、東北大学は口腔疾患に関する専門的な見識や、症例データの画像などを提供する。読み込ませたデータ件数は43症例で、口腔のデータは約8万件。今後も東北大学の付属病院の患者に協力をしてもらう。 記者会見には、東北大学大学院歯学研究科研究科長の佐々木啓一氏とNTTドコモ先進技術研究所所長の滝田亘氏が登壇し、共同研究の趣旨説明やAIの技術説明を行った。 歯肉炎や歯周炎を含む歯周病は、20代で約61%、40代で約71%、60代で約75%と罹患率が高いものの、痛みや出血といった自覚症状が少ないことから、歯周病検診の受診や治療の必要性を感じにくい患者が多いといい、AI開発の経緯について佐々木氏は「スマートフォンのアプリで簡単に判断できることで、歯周病検診に動機を持ってもらえるのではないか」と期待を寄せている。実際のアプリの利用シーンとして、個人が口腔ケアとして活用する以外にも、地域の歯科医とコミュニケーションを取れる手段としても考えており、ユーザーが日常的にアプリを利用して歯科医と情報を共有することで、深刻な状況になる前に歯科医による治療を受けられるきっかけにもなるという。 技術的な課題としては、自撮りの上手・下手には個人差があり、撮影する角度や明るさによって結果が変わるため、高い精度で発見できるようにするには技術的なハードルがあるといい、滝田氏は「技術的な課題をクリアしながら実証実験でフィードバックを得て、実際の医療現場で使っていただけるようなレベルの精度に磨き上げていきます」と話し、正式なリリース日や利用形態は未定だが、2022年度の実用化を目指している。 また、両者は歯周病のみではなく、口腔内の様々な疾患を検知できるAIの開発を進めていくといい、会見では歯周病発見AIに加えて、顎関節症と口腔ガンのリスクを早期発見するAIのデモも行われていた。