アリアンスペースが2020年にアリアン6打上げへ

 アリアンスペース社は、マンダリンオリエンタル東京(東京都中央区)で記者会見を開催し、ステファン・イズラエルCEOが次世代機アリアン6、ヴェガCの開発状況、日本の衛星打上等について説明した。アリアンスペース社は、1980年に創設、受注残は47億ユーロで、2017年の売上高は13億ユーロとなっている。現在3つのロケットを運用し、アリアン5は2003年から83回連続打上、ソユーズは43回打上、ヴェガは2012年から11回の連続打上に成功している。アリアン5は通信衛星など商用打上、ソユーズはコンスタレーション衛星、ガリレオ(測位システム)等、ヴェガは地球観測等を得意としている。南米仏領ギアナ宇宙センターは射点が非常に赤道に近く、天候条件も良く、直接軌道への投入できるので、柔軟にミッションに対応できる。1980年以来、570以上の衛星を軌道に投入した。イズラエルCEOは「特に今年打上が予定されている、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)の共同プロジェクトである彗星探査機のベピ・コロンボの打上げに期待している」と話した。 2017年はアリアン5が6回、ソユーズが2回、ヴェガが3回と計11回の打上に成功した。衛星の軌道投入数は昨年、商用衛星14機、政府系衛星6機で計20機を達成した。内訳は静止通信衛星12機、ナビゲーション衛星4機、地球観測衛星4機。2018年はアリアン5を2回、ソユーズを1回打ち上げたが、年内にさらに10回打ち上げる計画だ。今後、29の顧客に対し、54回の打上を計画している。その内訳は、アリアン5が17回、アリアン6が2回、ソユーズが28回、ヴェガまたはヴェガCが9回。「日本では今後、B-SAT社とスカパーJSATに対し、サービスを展開する。将来を担うロケットがアリアン6とヴェガCで、ヴェガCの最初の打上げは2019年、アリアン6は2020年半ばを目指している」(イズラエルCEO)。 アリアン6には2タイプがあり、アリアン62は2つのブースター、アリアン64は4つのブースターで構成されている。固体ブースターなのでアリアン6及びヴェガCで共有する。アリアン62及びヴェガCでの打上契約は既に締結されている。アリアン62では2つのガリレオ衛星打上の契約が欧州で締結。ヴェガCでは2つ契約が締結され、うち2つが民間用、1つが政府系だ。メインのペイロードを打ち上げるだけではなく、複数の小型または超小型、ナノ型の衛星等にも対応できる。「アリアン6もヴェガCも私が今後展開する技術革新のほんのスタートに過ぎない。既にこれらの打上機に関しては様々な技術革新の構想を抱いている。アリアンについては四つメタンを燃料に活用するプロメテウスを開発し、2020年に最初の試験を行う計画だ。プロメテウスは、現在アリアンのメインステージのエンジンに活用されているバルカンと比べてコストは10分の1と非常に価格が安い。今後、再利用できるようなモデルが必要になった場合にプロメテウスを活用できる。プロメテウスを活用した最初の商業用のデモンストレーションの打上は2020年に計画されており、ESAからアリアンを既に受注している。2つ目のステップでは、これらの機材を回収して、このステージを再利用することを考えている。プロメテウスをさらに進めて、カリストプロジェクトでは各ステージの軽量化を進める。これには複合部材が活用されているので、上段がブラックアッパーステージとなる。今後10年間に果敢にイノベーションを推し進め、2030年までにアリアン6の革新を目指す」とイズラエルCEOは強調した。 1986年に東京事務所が開設されて32年が経過したが、その間32の契約を結んだ。これは日本の商業衛星打上マーケットの75%にあたる。これまでにB-SAT社の衛星を9機打ち上げた。また、BSAT-4bも契約を受注した。昨年9月にBSAT-4aを打ち上げた。スカパーJSATについては既に19機のJCSATを打ち上げている。今年4月5日にスカパーJSATのDSN-1とSuperbird-8を打ち上げた。DSN-1は日本の防衛省関連の衛星。受注残は2基で2019年にJCSAT-17を打ち上げる予定。今年末にはINTELSAT社との共同事業でHorizons 3eを打ち上げる。さらにNHKの衛星2機を打ち上げた。アリアンスペース社はJAXAとNECとパートナーシップを組み、展開アンテナであるLDREX-1、LDREX-2の実験打上に参加した。また、三菱電機から提供されたDS2000をプラットフォームにした衛星を3基打ち上げている。さらに三菱重工と、アリアン5とH-ⅡAのバックアップ契約を結んでいる。