NICT、「最後の晩餐」の下地構造 電磁波による調査を実施

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の電磁波研究所電磁波応用総合研究室は、イタリア文化省、 Polo Museale Regionale della Lombardia、Cenacolo Vinciano及びIstituto Centrale per il Restauroの協力依頼により、レオナルドダヴィンチ作の壁画「最後の晩餐」をテラヘルツ(THz)時間領域イメージング法を用いて、2019年10月に調査した。 この作品は一般的なフレスコ画と異なる技法で描かれており、20世紀の大規模な修復時に、現在は除去されている加筆部分については詳しく調査されたものの、下地構造は詳しくは調べられていなかった。今回は、THz波により絵画層直下の下地層までをNICTがTeraMetrix社の「T―Ray5000」システムを用いて調査し、さらに深い層についてはドイツのFraunhofer Institute for Industrial Mathematics (ITWM)の協力によりミリ波のイメージングシステムを用いた。 NICTでは、これまでにもTHz波時間領域イメージング法を用いてイタリア学術会議(CNR)のNello Carrara 応用物理研究所と協力し、Uffizi美術館所蔵のGiotto作Polittico di Badia等のイタリアルネッサンス期の絵画の電磁波による調査を実施してきた。これらの経験と成果に基づき、最後の晩餐の表面から壁までの構造の解析と検証を進めている。 現時点まで得られた解析成果を、3月3日からドイツのKaiserslauternで開催された「THz Workshop」で発表した。