フォーラムエイト デザインフェスティバル開催

 フォーラムエイト(東京都港区、伊藤裕二社長)は、「第16回FORUM8デザインフェスティバル3Days+Eve」を11月16日(水)~18日(金)(EVEは15日〈火〉午後6時~午後9時)に、リアルとオンラインのハイブリッドで開催した。リアルの会場は品川インターシティホール(東京都港区)。 Day1(16日)には、オープニングで「FORUM8デザインフェスティバル開催のご案内」を伊藤裕二フォーラムエイト代表取締役社長が行った。挨拶の要旨は次の通り。 当社は、ソフトウェアパッケージの開発で創業して以来、今年で35年が経った。1983年、土木建築設計用システムUC―1シリーズという設計ソフトを8ヵ月程度で開発したのが最初である。おかげさまでこの35年間、土木設計、建築、建設以外にもいろいろな分野で当社のソフトが使われるようになった。現在は東京本社をはじめ、国内で11の拠点で活動しており、海外にも現地法人がある。 当社はUC―win/Roadをベースに、今後はクラウド、AIなど展開、自動設計ではAI的な機能を盛り込んでいく予定である。UC―win/Roadはおかげさまでこの2019年と20年の企業シェアナンバーワンとなっている。近年では非常にこの分野、とりわけメタバース、デジタルツインに注目をされており、さまざまなソフトやサービスが出ており、そこで私どもは、バーチャルプラットフォームシステムF8VPSをリリースしている。また、経済産業省の令和3年度「産業技術実用化事業費補助金(次世代ソフトウェアプラットフォーム実証事業)」において、フォーラムエイトの「XR技術を用いた次世代コミュニケーションプラットフォーム開発事業」が採択された。今後、これをさらに拡張していきたい。 それからメタバース、VRに密接に関係する3Dモデル、レンダリングの累計50万本販売の国産3Dソフト 「Shade3D」も圧倒的なシェアを持っている。ここでは、実用3Dデータ集の森シリーズも販売している。広報活動では女子プロサッカーWEリーグの大宮アルディージャVENTUSをトップパートナーとして応援している。それからつい先日行われた「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」の協賛スポンサーとなっている。今後は海外のイベントにも積極的に参加する予定で、特に世界最大級の技術見本市「CES」に来年1月に出展する。来年6月のデザインイベント「ミラノサローネ」に出展する。     ◇ 続いて、「第7回自動運転カンファランス」が催された。経済産業省、総務省、国土交通省、警察庁、デジタル庁の5省庁の専門家から講演があった。 特別講演2「自動運転の実現に向けた情報通信の動向と総務省の取組」と題して、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室長(高度道路交通システム推進室長)の増子喬紀氏が講演した。講演要旨は次の通り。 ITS(インテリジェント・トランスポート・システム、高度道路交通システム)の推進は、各政府戦略において重要課題として位置づけられており、内閣府及びデジタル庁の下、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省等が連携して取り組んでいる。このうち総務省は『情報通信環境の整備』に取り組んでいる。運転支援システムに係る総務省の施策概要では総務省は、関係するステークホルダーとともにITS無線システムの推進に取り組んでいる。▽国際標準化:ITUなどの国際機関における標準化プロセスへの参画▽制度整備:周波数割当て及び電波の効率的利用の促進▽研究開発及び実証:新たな無線技術に係る研究・技術調査▽国際協調:様々な課題解決に向けた国際的なITSの利用促進ーが施策である。 次に自動運転での「レベル4」(運転自動化技術を搭載した車両の概要では一定条件下で、すべての運転操作を自動化する技術を搭載した車両)、「レベル5」(条件なしで、すべての運転操作を自動化する技術を搭載した車両)の実現に向けたV2X(ITS用無線通信、自動車の安全性・利便性を向上させる次世代の技術)の重要性では、車載センサーでカバーできない部分(カーブの先など)をV2Xでカバーすることが必要。低遅延でセキュアかつ、セルラー網とシームレスに使えるV2X通信が必要だ。 周波数再編アクションプラン(令和4年度版)の重点的取組で『V2Xの検討推進』が挙げられている。自動運転システムの進展・重要性を踏まえ、既存のITS用周波数帯(760MHz帯等)に加えて、国際的に検討が進められている周波数帯(5・9GHz帯)において、同周波数帯の既存無線システムに配慮しながら、V2X用通信を導入する場合における具体的な周波数の利用方策等について、一部の既存無線システムとの周波数帯共用不可等の検討結果や最新の国際動向・技術動向等も踏まえながら、令和4年度に検討を開始するとしている。 このほか、「経済産業省における自動走行等の実現に向けた取組」(経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長 福永茂和氏)、「自動運転に関する国土交通省 道路局の取組について」(国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム(ITS)推進室長 和賀正光氏)、「自動運転の実現に向けた取組について」(国土交通省自動車局自動運転戦略室長 多田善隆氏)、「自動運転の実現に向けた警察の取組について」(警察庁交通局交通企画課自動運転企画室長 伊藤健一氏)、「デジタル庁におけるモビリティ分野の取組について」(デジタル庁国民向けサービスグループモビリティ班・企画官 鈴木崇弘氏)の講演が行われた。     ◇ 午後には、「第21回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド表彰式」が行われた。国内外から高度なVRデータ作品が応募される〝3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド〟。土木・建築や交通・自動車分野に加えて、環境、災害対策、教育訓練、医療など、活用分野と可能性が広がっている。表彰式ではVRの専門家による詳細な受賞作品解説を実施した。今回からVR推進協議会の選考による「VRシステム・オブ・ザ・イヤー」の表彰も実施した。 一般投票及び審査員による厳正な審査の結果、グランプリ、準グランプリ、アイデア賞、エッセンス賞、3つの審査員特別賞および、VRシステムオブザイヤーが決定した。 グランプリ(最優秀賞)は大成建設の「ダム建設工事における重機3Dリアルタイムデジタルツインシステム」が受賞した。作品概要は、自動建機群の協調制御システムとUC―win/Roadを連携させ、ダム建設現場におけるリアルタイム3Dモニタリング及び接近時の緊急停止システムを構築した。GNSSの位置情報を用いてUC―win/Road上で自動建機や作業員の位置を可視化、接近検知を行い、状況に応じて自動建機の監視者に対する警告や協調制御システムへの停止命令を出す仕組みとなっている。見どころは、ダムの建設現場が大規模な空間に表現されている。シナリオを実行すると、重機の動きをモニタリングしてVR上でシミュレーションするイメージや、接近検知のイメージを見ることができる。  準グランプリ(優秀賞)は日鉄エンジニアリングの「免制震デバイス効果体験地震シミュレーション」が受賞した。 このほかアイデア賞は全羅北道交通文化研修院(韓国)の「高齢ドライバー向け運転能力評価システム」、エッセンス賞はオリエンタルコンサルタンツの「本厚木駅周辺における交通再現VRシミュレーション」、審査員特別賞「Digital Control賞」(関文夫審査委員長=日本大学理工学部土木工学科教授)は日鉄テックスエンジの「工場構内における出勤退勤時の交通シミュレーション」、審査員特別賞「地域づくり賞」(傘木宏夫審査員=NPO地域づくり工房代表)は新日本コンサルタントの「山間部橋梁における維持管理の延命措置検討」、審査員特別賞 Traffic simulation賞」(原口哲之理審査員=名古屋大学未来社会創造機構客員教授)は愛知県立大学の「車両―自転車―歩行者連携シミュレータシステム」が受賞した。 ノミネート賞は深?大学(中国)の「都市地下道路の交通標識及び安全VRシミュレーション」、産業開発コンサルタントの「橋梁景観デザインVRシミュレーション」、三井共同建設コンサルタントの「DX技術(3DVRとPLATEAU)を活用した風力発電事業の推進~地方におけるスマートシティの実現に向けて~」、金秀建設の「橋梁上部工工事施工シミュレーション」が受賞した。 VRシステムオブザイヤーは国土交通省の「施工DXチャレンジ(遠隔施工等実演会)デジタルツインシステム」が受賞した。作品概要は、F8VPSで構築されているVR国総研においてDX実験フィールドで開催される遠隔施工等実演会のバーチャル会場を構築。VR空間上には会場レイアウトと重機のほか、現場の映像がリアルタイムでバーチャル会場上でライブ配信される。デジタルツインプラットフォーム活用展開として、重機センサーの情報を取得し、VR上で現場と同期した重機の動作シミュレーションも可能としている。見どころは、VR国総研内のDX実験フィールドが更新され、遠隔施工等実演会のバーチャル会場が再現されている。会場のレイアウトや重機のイメージを見ることができ、空間上に配置されたカメラから動画を閲覧もできる。格納庫をクリックすると、実演会のスケジュールが確認できる。 VRシステムオブザイヤーの審査員は伊藤裕二(一財)VR推進協議会理事長フォーラムエイト社長、関文夫(一財)VR推進協議会理事日本大学理工学部土木工学科教授、相田龍三(一財)VR推進協議会理事日本テクノス名誉会長の3名。 総評を関審査委員長が次のように述べた。 今回エントリーノミネートされた12作品がありそのうちの4つが景観のシミュレーション、そして4つが道路のシミュレーション、そして4つがデジタルツイン、第20回の時に今年はデジタルツイン元年だという発言をした。今年はもう4作品もエントリーされているというのがまず大きな特徴だと思う。 景観シミュレーションの分野では地方のコンサルタントとか、建設会社、そういった会社の取り組みが極めて目立ち作品も大胆にわかりやすく、非常に丁寧に作られている傾向があると思う。 それから2つ目の道路シミュレーションに関しては、国を問わず、今回韓国の方からは高齢者の免許を返上させるために、ちょっとショッキングな映像を入れながら作られたシステムがあったり、中国の地下道の交流の安全性を確認するためのシミュレーションだったり、これも非常にこれまで通り多岐にわたるシミュレーションが行われている。 3つ目のデジタルツインが今回は特徴的で、これまでの街をただデジタル化するという枠から超えた、これが大きな進化だと思う。つまり、デジタルツインになにをクロスさせたか、最優秀賞グランプリを受賞した大成建設の作品はそこにリアルタイムという手法を用いた。リアルタイムでデジタルツインがどう動いて、どういう使い方ができるのか。非常に大きなヒントを与えてくれた作品だと思う。 それから、準グランプリの日鉄エンジニアリングのデジタルツインは、地震のVRでかなり臨場感のある体験ができるようなシステムだった。 オリエンタルコンサルタンツの作られた本厚木駅周辺。もうこれはダイバーシティーの本当に魅力溢れる作品で、今回はベースのデータでしたけれども、これから何をやっていくのかなというところは、ものすごい可能性を秘めている作品だと思う。 今年はデジタルツインが始動した年であり、それがただ単にデータを作ってどうだという状況ではなく、もう一つ、新しい何かをクロスさせて、デジタルツインの可能性で一歩を踏み出した今回の作品になったと思う。 なお、品川インターシティホール・ホワイエでは、常設展示でドライブシミュレータなど最先端のVR連携システムを紹介した。11月10日から13日に愛知・岐阜で行われた「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」のラリーカー(レプリカ)も展示された。