デンマーク最大手KMDを買収 NECのテクノロジーで高い付加価値を創出 NEC

 NECは、12月27日に都内で記者会見を開催し、デンマークのIT大手企業KMDを1360億円で買収したと発表した。 KMDは、年・月間契約で継続的に収益が得られるリカーニング型のITサービスなどを主に提供する、40年以上の歴史を持つデンマーク最大手のIT企業。特に中央や地方政府向けに強固な顧客基盤と幅広い種類のソフトウェアを有し、国連の経済社会局が発表した2018年の「世界電子政府ランキング」で首位となったデンマークのデジタル化を支えており、M&Aも積極的に活用いて様々な業種への事業展開を進めているという。 今後は、NECの生体認証技術「Bio―IDion」やAI技術「NEC the WISE」とKMDが持つソフトウェアを組み合わせることで新たな顧客価値を提供するソリューションの創出を図り、2017年度時点で約500億円だった海外売上を2020年度には2000億円まで引き上げることを目標としている。 記者会見には、NEC代表取締役執行役員社長兼CEOの新野隆氏と執行役員常務の山品正勝氏が登壇。 新野氏は同社が発表している2020年度までの3ヵ年の中期経営計画「2020中期経営計画」において、「セーフティ事業」をグローバルで収益を増やすための成長エンジンとして位置づけていると話し、「営業利益率5%、EBITDA率20%以上の高い利益率を持ったビジネスを展開する」と話した。 さらに、今回のKMDと、2018年1月に発表した英国の公共向けITサービスを多く提供するNorthgate Public Services(NPS)の買収について触れて「当社が持つ世界ナンバー1の生体認証技術やAI技術群、サイバーセキュリティ技術をベースとして両企業が持つ公共サービスとのシナジーによって、安心・安全な生活を実現する『NEC Safer Cities』にセーフティ事業が大きく寄与します」と話し、給付・徴収・管理・メンテナンスといった警察・税金・公営住宅・ヘルスケア・交通といった各分野でも水平展開可能な「共通業務プラットフォーム」、AIや生体認証技術によってデータ解析や将来予測を行う「分析プラットフォーム」、自治体などから得られるビッグデータ等の各種データを収集・統合する「データプラットフォーム」の3つのプラットフォームなどの売り切り型のビジネスから、ソフトウェアプラットフォームを活用したビジネスモデルに軸を移し、同プラットフォームとのシナジー効果が生まれる買収を今後も行っていくという。 山品氏はKMDの強みとシナジー効果について説明し、「KMDのソリューションへのアクセスにNECの生体認証技術を付与して強固なセキュリティを持たせることや、KMDが持つ政府のビッグデータを活用してNECのアナリティクス技術を組み合わせることで、データ&アナリティクス事業を強化・高い付加価値を付与することが可能となります」と話したほか、「KMDとNPS同士でもデータを相互連携させることでシナジーを生み、北欧をはじめとする欧州諸国に展開するほか、NECのチャネルを活用しながら世界展開を図っていく」と語っている。