アイリスオーヤマとSBロボティクスが業務資本提携
アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスは、2月2日に「The Okura Tokyo」プレステージタワー(東京都港区)で、資本業務提携と新製品に関する共同発表会及び体験会を行った。また、Web会議ツールで同時中継した。 アイリスオーヤマから大山晃弘社長、本所翔平執行役員BtoB事業グループメーカー本部長兼ロボティクス事業部長、ソフトバンクロボティクスから冨澤文秀代表取締役社長兼CEOが出席した。 両社は、ロボット市場における中長期的な需要創造と社会課題解決を目指して、「業務提携合意書」を締結した。また、アイリスオーヤマはソフトバンクロボティクスグループが実施する総額100億円の「第三者割当増資」の引き受けを決定した。 国内では、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少や、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化の影響により労働者不足が深刻になっている。さらに、社会経済活動の様々な分野でDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が進展し、ポストコロナ時代を視野に入れた、新たな需要創造が求められている。そこでアイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループは、法人向けサービス・ロボット分野の市場に本格参入するため、合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」を昨年2月に設立。同社は、法人向けサービス・ロボット分野における業務設定コンサルティングや定着化支援など、業務のロボット化に関するトータル・ソリューションを提供している。 このように両社はロボット事業を通じて良好な関係を築いており、今回の業務提携及び「第三者割当増資」の実施により、それぞれが有する経営資源やノウハウを統合して連携を一層強化し、中長期的な企業価値向上の実現と社会課題の解決に貢献する。また、今後も進展が続くDX化への対応と持続可能な社会の実現に向けて、「労働者不足解消とDX化に向けた取り組み」「脱炭素社会の実現・CO2排出量削減に貢献」そして「新たなソリューションの開発と向上」を推進するとしている。 ◇ 大山社長は会見で次のように述べた。 アイリスオーヤマはソフトバンクロボティクスにですね2月中に100億円の出資をすることを決定した。昨年両社は、ジョイントベンチャー「アイリスロボティクス」を設立して非常に業績好調ということでさらに連携を深めるという意味合いでこのほど出資をし、今後は共同で新機種の開発を行いたい、このように考えている。しかしながらただ新機種の開発だけではもったいない。アイリスオーヤマには様々なノウハウがあるし、ソフトバンクロボティクスにもすばらしい技術がある。そうしたことで共同開発を超えた資本業務提携を行いたい。ポイントは2つ。ひとつはSDGs。来るべき脱炭素、省エネルギー社会をいかに実現をするのか、2つ目は業務 DX。 人とロボットの協業をサービスロボットで実現する。この2つを今回の業務資本提携を行うことで実現していきたい。具体的に何をするか。もちろん今あるサービスロボット、清掃ロボットと配膳ロボット、これを使った業務 DXが主軸である。一例を言うと、ただ床面を清掃するだけではなくて、アイリスオーヤマには「LICONEX」(ライコネックス)といった無線通信システムや様々な AI カメラ、IoT センサーというものがあって、そういったものを組み合わせることで例えばトイレ掃除であったり、また他の場所であっても今は全て定期的に清掃している、それをセンサーを使うことで汚れたら清掃する。ゴミ箱がいっぱいになったら取り替える。そういった業務の効率化を図っていきたい。このように考えている。また様々なセンサーを作ることでビル全体の電力使用量の見える化であったり、また従業員の方がどこにいらっしゃるのかそれを様々なデバイスを使って瞬時に測る。そうすることで密を避けたり効率的な働き方を提供できるだろうと思う。またロボット自体もエレベーターと連携することで複数階でのオペレーションが可能になるように、そのような開発をしていきたいと思っている。当社は空気清浄機を含めて空間除菌等様々な空気の清浄技術を持っている。それとロボットを使った床面の清掃を加えることでより安心安全な職場環境や空間を共同で作っていければと考えている。またロボットと照明が重なることで効率的な通信並びに効率的な清掃そして無駄な電力を省くといったこともできる。配膳に関してもAI カメラを使ってそれぞれのお客様に合わせたおすすめ商品をタブレットなどで提供し、そして効率的に配膳をすることで、より飲食店の魅力を広げていきたい。こういった夢のような事業をソフトバンクロボティックスと実現していきたい。日本はまさしく今コロナ、そして人口減少というなかで、大きな課題を抱えている。今回の出資を契機に日本社会の課題解決につながればと考えている。 ◇ 冨澤社長は会見で次のように述べた。 私どもロボット事業を立ち上げて8年くらい経つ。8年前を振り返ると、何を言っていたかというと、主にITがかなり海外勢におされて日本の企業はかなりやられた。ただ、ロボットに関しては日本の企業は、絶対に負けたくないと。日本はロボットで強くなければいけないというお話しをさせていただいた。もうひとつは、労働人口の減少という課題を何とかしたいと。そのなかでロボット、デジタルトランスフォーメーションならぬロボットトランスフォーメーション、RXと社内ではいうが、これを推し進めて日本の課題を解決していきたいと。8年経って今思うにソフトバンクロボティックスは間違いなく世界のスマートロボットの中ではトップ集団のひとつといえると思う。最近ではワールドワイドでもだんだん名前がし始めてビジネスもずいぶんやりやすくなったと実感している。ただ、その一方で労働人口の減少に関しては8年前はそうでもなかったが実際、今は切迫したものと体感できるようになっている。これはこれからやってくる非常に大きな課題だ。これに対してわれわれは何ができたかというとまだまだ全然足りないというのが私の実感だ。これをニーズに合った形でもっと立ち上げたいというときに、われわれだけでは力が足りないと実感していた。そこで素晴らしいパートナーを見つけられればよりブーストされてより良い結果が出るのではないかという中でいろいろな企業と話したが、その中でアイリスオーヤマが最もわれわれが志しているところは、例えば日本発にこだわるとか、日本の課題を解決したいとかここに置いているという意味では非常に合致しているところがある。さらにアイリスオーヤマはわれわれ以上に顧客の接点もあるし、さらにソリューション能力もあってさらに商品開発能力もあってわれわれに無いところをたくさん持っている。一方でわれわれはワールドワイドのパートナーとのつながりもあるし、ロボットに対する知見も多いということで非常に両者のですね長所短所をうまく補えるようなパートナーになるんじゃないかということで、昨年からですねジョイントベンチャーをやらせていただいたが、非常にうまくいっているということで、もっと踏み込んで今回業務提携と資本提携ということを発表させていただいた。アイリスオーヤマはすばらしい経営者がいる会社ということで、今後中長期で考えて非常にたのもしく思っている。 続いて両社トップによる資本業務提携の調印式を行った。本所氏が製品説明を行った。 ◇ 両社は、2月2日より中国の「Keenon Robotics」社の配膳・運搬ロボット「Keenbot(キーンボット)アイリスエディション」の国内販売を開始した。「Keenbot アイリスエディション」は、ソフトバンクロボティクスと高いソリューション提案力を持つアイリスオーヤマ、優れた開発力を持つKeenonの3社が共同で展開する。 日本国内では少子高齢化による労働人口減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による人手不足が大きな課題となっている。特に飲食・サービス業界における従事者数は、総務省統計局公表「サービス産業動向調査」2021年(令和3年)8月分(速報)によると、新型コロナウイルス感染拡大以前の約549万人(2019年8月)から約488万人(2021年8月)と1割以上減少しているという。加えて、日常生活における衛生意識や非接触による感染防止対策へのニーズが高まり、配膳・運搬ロボットが注目されている。 「Keenbot アイリスエディション」は最大4段のトレーを搭載し、大容量の配膳や下げ膳に対応したロボット。低重心かつ堅牢な筐体設計により安定的な運搬を実現するとともに、タッチパネルによる簡単な操作が特長で、レストランやゴルフ場、ホテルなど広範囲の会場での稼働に適している。 両社は、販売中の配膳・運搬ロボット「Servi アイリスエディション」に加え、新たに「Keenbot アイリスエディション」をラインアップに加えることで、導入企業の店舗規模や使用環境、配膳容量などに合わせて、より適切で柔軟な製品提案を行い、配膳・運搬ロボットの普及拡大と業務効率化や非接触など多様なニーズに対応する。 「Keenbot アイリスエディション」の実証実験は、「シンガポール・シーフード・リパブリック東京」(東京都港区、運営会社:M・R・S)や「湯快リゾート片山津温泉NEW MARUYAホテル」(石川県加賀市、運営会社:湯快リゾート)、「Pepper PARLOR」(東京都渋谷区、運営会社:ソフトバンクロボティクス)にて実証実験を行っており、配膳や下げ膳などに活用されている。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ