「電子情報産業の世界生産見通し」を発表 JEITA
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2022年12月15日に同協会大手町オフィス(東京)およびオンラインのハイブリッド開催で、時田隆仁会長(富士通社長)による記者会見を開催し、「電子情報産業の世界生産見通し」を発表した。2023年は、ウクライナ情勢の長期化懸念など世界経済の不透明感は残るものの、各国での景気対策やデジタル変革に向けた投資拡大によるソリューションサービスのさらなる伸長への期待から、世界生産額は前年比3%増の3兆5266億ドルとなり、過去最高の世界生産額を更新する見通しだ。##本文 同調査は、世界の電子情報産業の生産規模をデータによって明らかにするとともに、世界における日系企業の位置づけを把握することを目的としている。会員各社を対象としたアンケート調査をベースに、国内外の関連企業・団体の協力を得て、毎年取りまとめている。 電子情報産業の2022年の世界生産額は、対前年比1%増となる3兆4368億ドルが見込まれている。巣ごもり需要の反動減や消費の減速により、電子機器ならびに電子部品・デバイスはマイナスとなった一方、自動車・産業部門を中心としたデジタル化の進展やデータ利活用の高度化・自動化によるソリューションサービスの好調が下支えとなり、微増を堅持する見込みとなった。 2023年はウクライナ情勢の長期化懸念など世界経済の不透明感は残るものの、各国での景気対策やデジタル変革に向けた投資拡大によるソリューションサービスのさらなる伸長が見込まれ、またカーボンニュートラル対応向けの需要などによる電子部品の伸長が期待されることから、世界生産額は前年比3%増の3兆5266億ドルとなり、過去最高の世界生産額を更新する見通しだ。 2022年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は、対前年比8%増となる39兆4837億円が見込まれている。巣ごもり需要の反動減はあるものの、円安により海外での価格競争力が向上したデジタルカメラやプリンター 、電気計測器などがプラスに推移し、また自動車の電動化や電装化率の向上を背景に電子部品・デバイスの搭載数が増加、円安での底上げもあって輸出が好調に推移していることが要因だ。国内生産額は前年比2%増の11兆1243億円で、2年連続の対前年比プラス成長となる見込みだ。今後は、新たな価値を生み出し経済成長の源泉となるデジタル変革に向けたソリューションサービスでの需要拡大が見込まれることから、2023年の日系企業の世界生産額は、前年比3%増の40兆7599億円を見通した。国内生産額は、前年比3%増の11兆4029億円と見通した。 ◇ JEITAは、「電子情報産業の世界生産見通し」の発表に合わせて、社会課題を解決する先端テクノロジーをはじめとする、デジタルイノベーション市場の世界需要額見通しを発表した。同調査は、主要国政府の政策や海外先進企業の動向など公知情報の分析と、国内先進企業へのヒアリングをもとに推計したもの。 主なポイントは次の通り。 デジタルイノベーション市場の世界需要額は年平均13・1%で成長し2030年において2兆3525億ドルに達する見込み。Web3・0/ブロックチェーンの世界需要額は2030年に1136億ドルを見込んだ。量子コンピューティングの世界需要額は2030年に607億ドルを見込んだ。メタバースの世界需要額は2030年に1866億ドルを見込んだ。 今回の調査では、各国政府の戦略などをもとに影響の大きい7つのテクノロジー要素「Web3・0/ブロックチェーン」「量子コンピューティング」「メタバース」「クラウド/エッジコンピューティング」「5G/Beyond5G(6G)」「AI・データ解析」「サイバーセキュリティ」を抽出し、それぞれの技術が利活用ならびに社会実装される場面を想定して市場規模を推定、2030年のデジタルイノベーション市場は2兆3525億ドルに達すると見通した。 デジタルイノベーション市場のうち、IoT機器が年平均9・4%増での成長が見込まれる一方、ソリューションサービスは年平均16・5%増とより高い成長が見込まれ、市場をけん引する見通しだ。ソリューションサービスの利活用分野別需要額見通しでは、スマートファクトリーによる自律化や生産性向上に係る製造分野が最も大きく、ブロックチェーンによる取引革命が期待される金融、街や生活のインフラ基盤改革が期待される公共が続く見込みとなった。 また、今後に大きな期待がかかるのが応用テクノロジー3要素としたWeb3・0/ブロックチェーン、量子コンピューティング、そしてメタバース。それぞれ2030年に向けて年平均15%以上で成長する見込みであり、2030年にWeb3・0/ブロックチェーンは1136億ドル(2021年から年平均42・0%増)、量子コンピューティングは607億ドル(同年平均28・4%増)、メタバースは1866億ドル(同年平均16・9%増)の世界需要額を見通した。 為替レートは 2021年:109・5円/ドル、2022年:128・6円ドル、2023年:128・6円/ドルとしている。2022年は2022年1―10月の単純平均レートを使用、2023年の為替は2022年と同一とみなして調査を実施した。(全文は1月1日付け6面に掲載)
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