KDDI総合研究所 「研究プロジェクト紹介2022」を開催

 KDDI総合研究所(中村元・代表取締役所長)は、10月14日にふじみ野本店(埼玉県ふじみ野市)で、同社が現在取り組んでいる研究プロジェクトを紹介する「研究プロジェクト紹介2022」を開催した。総務省情報通信審議会情報通信技術分科会で議論されているBeyond 5Gのユースケースに関連する研究プロジェクトを展示した。このほか、Beyond 5G/6G時代に期待される宇宙空間での活動に向けて月面でのモバイル通信実現に向けた取り組みや、Beyond 5G/6G時代の没入型メディアとして期待される光を操る究極の立体映像「ホログラフィー」の研究成果などを展示した。 KDDI総合研究所は、『月面でのモバイル通信実現 ~インターネットを月面で利用する時代に~』を展示紹介し①回線確保のため、通信アーキテクチャ検討②通信エリア確保のため、月面での電波伝搬の把握―に取り組んでいる。2035年頃に月面探査や入植が活発化すると、通信需要が増加する。地球と月の通信例は月面内では月面基地局を使った拠点間の通信を想定。地球とのやりとりでは月面天文台との観測データのやりとりや月面探査車の遠隔操作、月面上の人とのビデオ通信などを想定している。そのためKDDIでは2028年頃の月面通信サービス提供を目指している。 ①では、必要な回線容量の確保で地球~月の通信回線(地球周回衛星と月周回衛星間)において衛星の軌道や機数についてコスト面などを考慮して検討している。通信手段は電波や光無線及び経路についてコスト面などを考慮して検討している。月面での通信システムの構築で通信エリア確保のために基地局の配置や基地局間の接続方法、バックホールの確保等を検討している。光ファイバや無線による接続を検討。エリア外は衛星経由で通信する。 ②では、月面は金属成分を含むレゴリス(月面土壌、固体の岩石の表面を覆う軟らかい堆積層の総称。ここでは天体の表面に分布する堆積層のこと)で覆われているため、地球と異なると想定される地面の反射係数を把握し、月面での通信エリアを検討中だ。現在、模擬品のレゴリスの反射係数を実測して進めている。また、地形と反射係数を用いたシミュレーションにより通信エリアを検討中だ。(全文は10月21日付1面に掲載)