ビット・パーク 遠隔操作ができる自動解錠ボックス「ココBOX」

 ビット・パーク(東京都目黒区、野口修代表取締役)は遠隔操作ができる自動解錠ボックス「ココBOX」を昨年8月に発売した。このほど、甲信越地方の自治体で小学校など28ヵ所への導入が始まる。 「ココBOX」は、災害発生時に避難所指定された公共施設、学校の体育館などの入口付近に設置、重要避難施設の鍵を収容する。災害発生時には遠隔操作で「ココBOX」を解錠できるので、各避難所の鍵を安全かつ即時に開けることができる。 システムのポイントは「有事の際に解錠状況を見える化する」。 端末と自治体などの管理センター間は『常時監視』され、停電時は電池駆動により6時間以上動作する。 「ココBOX」と同社のデータセンター間とはドコモ社携帯網によるデータ通信を行っている。データセンターとインターネットで自治体などの管理センターやクライアント端末と結ばれる。管理センタでは、位置情報と解錠情報をW E B上に表示する。複数の設置ポイントも一元管理して、解錠・施錠情報と連動しているので、これらの動作確認が行えるのが魅力だ。 製品特長は次の通り。 ▽遠隔操作可能=パソコンやスマホ、タブレットから遠隔で解錠▽専用回線不要=設置したその日から利用可能▽簡単設置=重さ約2㌔㌘でどこにでも簡単に設置可能▽定期監視機能=定期的に「ココBOX」が確認信号を送信し、正常性の確認が可能▽一括解錠機能=管理画面上からすべての「ココBOX」の一括解錠が可能▽開錠確認機能=解錠信号を受信した「ココBOX」が開錠されたことを確認通知信号で送信可能▽雨雲レーダー連動(オプション)=管理画面上に雨雲レーダーの情報を表示可能▽振動検知で自動解錠(設定震度の変更可能)=強い地震を検知すると自動で開錠できるモードを標準搭載。 野口修代表取締役は「様々な防災・減災ソリューションでIoTが使われはじめているが『ココBOX』もそのひとつ。例えば、水位計や雨量計などで高価なものは百万円以上するが、『ココBOX』はお客様のニーズに応えてリアルタイム稼動し、使いやすく見た目もエレガントにした上、価格も値頃。近年、頻発している大規模な災害対策に、従来の高価なソリューションのイメージを覆して廉価なシステムを提供する。私どもは、ほんとうにお客様が望まれている製品づくりを日夜目指している」と述べた。 神谷喜人プロダクト事業部長は製品化のねらいを次のように述べた。 「大地震の発生や大型台風の襲来で地域の小中学校や自治体の施設などに避難所が開設されるが、防犯上、平日の夜間や休校日などは入口の鍵は施錠されている。ただ、災害はいつ起こるかわからない。避難所の鍵の保管者は自治会会長あるいは役所の防災担当と自治体によってまちまちで、避難所の鍵を解錠しなければいけない際、近所に鍵の所有者がいるとは限らないので、すぐに避難したくても、避難者は中に入れないことがある。災害発生時、この鍵の保管者の到達時間は非常に重要で、避難所に入れなくて犠牲者が出ることがあってはならない。寒空の中、または炎暑の中、辛い思いをする子供たちが少しでも早く避難所に入れるように、お年寄りが安心して避難できるようにする事が応災対策の最初の一歩と思う。一方、役所の危機管理担当者が大事な災害初動時に鍵を届けるために、走り回る、ことがあってもいけない。『ココBOX』はこういったケースを防ぐため製品化したシステムだ。全体の防災初動対応を改革しようというツールを目指した。自治体などの管理センターのクライアント端末と鍵の入った『ココBOX』を結んで、有事にはクライアント端末をクリックして『ココBOX』の扉の解錠がリモートで行える。『ココBOX』が解錠されると、あらかじめメール登録している近所の人などに非常時は『駆けつけて開けてください』という通知が届き、すぐに避難所入口に行って、扉を開けることができる。これらのシステム連携でタイムロスなく住民が避難でき、安心安全につながる」と話した。 自治体などの管理センターのPCは画面上で避難所の位置が示されている地図情報によって、解錠を〝指示〟。解錠されたことも表示される。電源も常時監視なので『ココBOX』だけでなく、避難所が停電したことも推測可能となる。 『ココBOX』は、間違ってリモート解錠指示をした場合でも、リモートで再施錠することもできる。特長のひとつ『地震振動検知で自動解錠』では、大きな揺れを感知して扉が開く製品は同業他社にもあるが「開いたことが管理者はわからないし、電池切れや故障しているかもわからない。そのエリアで地震が起こっているが、設置場所によっては、たまたま揺れが小さく振動感知せず開かないことも考えられる。『ココBOX』はリモート解錠指示を後追いで実施できるので、作動しなかった避難所を確認、個別に解錠が可能となるので、次の手がすぐに打てる。また、『ココBOX』は状態を常時監視してリモート施錠解錠、開いたことがわかるほか、万が一故障の時や現地が停電になった時も役所のPC画面でアラーム表示するなど、現地情報がすぐに手に入る」(同)。  今年初夏には『ココBOX』がバージョンアップしてお目見えする。現行システムは、商用電源で稼動しているが、校門の横などは電源が無いケースもあるので、新機種は太陽電池で稼動する形になるという。 神谷氏はアピールポイントを次のように述べた。 「近所の人にメールを通知して開けてもらう。この一連の動きには実は〝思い〟があって、それは、役所の職員の皆さんが緊急時に危険を冒して、避難所に鍵を届ける、昔ながらの人海戦術は“働き方改革”でも問題。これをIoTの仕掛けで行政側は仕掛けを作り、地域の皆さんに自主的に動いてもらい『防災への意識向上』、『防災能力の向上』を培うことで、効率化を図りながらコミュニティ連携として作用、人と人とのつながり強化が可能となる。さらに、平常時でも〝避難所の鍵番役〟の責任は大変重い。見えない御苦労を解消する事も重要だと思う。現在は災害が起きたときの避難所向けだが、将来的には水源地の浄水場、山の上の中継局、防災倉庫、津波避難タワーなどにもご検討頂きいざという時に貢献できる、いざという時でなくても、日々の負担軽減を実現する令和の働き方改革として、ぜひ活用してもらいたい」と話した。