【年頭所感】古野電気 古野幸男代表取締役社長執行役員

 新年、明けましておめでとうございます。昨年はコロナ禍 3 年目を迎え、経済の再開が進む一方で、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに資源やエネルギー価格が高騰する等の事態となりました。そんな中、世界経済は「利上げに舵を切る欧米」、「ゼロコロナ政策を徹底する中国」、「金融緩和を継続する日本」という構図で動いていきました。 今年は、以前の米国や中国のように世界をけん引する国が見当たらず、大きな経済成長は望めそうにありません。国内においても経済は堅調に回復するとの向きもありますが、現在の国政の混乱や、急激な物価高騰に鑑みれば、例年にも増して先行きは不透明と言わざるを得ない状況です。 昨年、当社では海運各社が活況を呈する中、部材の調達に苦慮し、全体最適なサプライチェーンの重要性を思い知らされる一年となりました。産業界のみならず社会全般において「デジタル化」の流れが顕著となって久しいですが、企業においてはさらに一歩踏み込んだ「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の段階へとシフトしました。IT化・デジタル化により単に業務プロセスの一部の効率化を図るだけでなく、製品やサービスをも含む事業そのものの変革が求められるようになってきました。 当社の主力事業である舶用分野においては「自律航行システム」が実証実験を重ね、2025年の実用化に向けて、あと一歩のところまできています。加えて養殖支援事業では、魚体重推定システムの商品化にこぎつけ、さらに精度を高める開発を進めています。また、国家プロジェクトとして動いている洋上風力発電実現に向けての支援や、土木建設現場での無線 LAN 整備などの分野においても、貢献できる部分は多々あると考えています。 当社は、2030 年までの経営ビジョンを定め、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」を目指しています。今年は、最終ステージへ「つなぐ」をコンセプトに、「技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動」をテーマとする中期経営計画【フェーズ 2】の初年度となります。このフェーズ 2 では将来成長に向けた挑戦への投資を推し進めることで、お客様はもとより社会にとって「なくてはならないフルノ」であり続けたいと思っています。 今年も皆様の一層のご指導、ご鞭撻をお願いして、新年の挨拶とさせていただきます。