NEC 英ITサービス企業を買収
NECは、1月9日に大手町ファーストスクエアイーストタワー(東京都千代田区)で、新野隆執行役員社長兼CEO、山品正勝執行役員が会見し、海外でのセーフティ事業拡大を加速するため、英国のITサービス企業「ノースゲート・パブリックサービス」(NPS)を、投資ファンド「シンベン」から4億7500万ポンド(約713億円)で買収すると発表した。買収完了時期は1月末を予定している。 NPSは1969年設立。公共分野向けのソフトウエア事業やサービス事業を展開し、英国とインドに約1400人のソフトウエア技術者を有する。英国の全警察や中央政府、95%の地方政府と取引関係があり、特に警察業務、税徴収・社会保障給付、公営住宅管理の領域で強固な顧客基盤と水平展開可能な共通業務プラットフォームを有している。 NECは海外でのセーフティ事業において、世界ナンバーワンの認証精度を有する顔認証や指紋認証などの生体認証技術を活用し、米国の30%以上の州警察に鑑識システムを提供するなど、鑑識や出入国管理といった分野を中心に世界70ヵ国・700システム以上の提供実績を有する。今後はこれらに加え、AI技術を活用して公共機関の業務データから不正申請を迅速に検知するなど、効率・公平といった新たな価値を創出するソリューションの提供に注力する考えだ。 NECは今後、NPSと共同で両社の各種ソリューションや技術を組み合わせたセーフティソリューションを開発・提供する。具体的には、警察業務や行政手続き時におけるNECの生体認証技術を活用した本人認証の強化・利便性向上、最先端AI技術群「NEC the WISE」を活用した社会保障の不正受給検知・給付漏れ防止、NECの顔認証や侵入検知・置き去り検知といった映像解析技術を活用した不審者や異常のリアルタイム検知などの実現に取り組む。 新野社長は「海外セーフティ事業の売り上げ拡大と収益向上を図ることで、同事業だけで2020年度の営業利益率5%以上を目指す。このボリュームを上げて全社の利益率向上を図る」と述べた。 さらに「海外セーフティ事業を伸ばし、NECの成長の柱とする。同事業を利益率の高いビジネスモデルに転換する。収益率向上の鍵は、水平展開可能なプラットフォームの整備・強化だ。バイオメトリクスを基盤とした事業展開により、セーフティ事業ではこれまで『安全・安心』を提供してきた。今後は、バイオメトリクスに『NEC the WISE』を加えて、より高度なセーフティソリューションを提供し『安全・安心』にプラスして『効率・公平』な社会を実現したい」と話した。 また『3つのプラットフォームによる新たなビジネスモデル』について説明。個別SI型「サービス」だけでなく、水平展開可能な「ソフトウエア(プラットフォーム)を組み合わせた「ソフトウエア+サービス」にビジネスモデルを転換する。具体的には水平展開可能な共通業務機能の『共通プラットフォーム』、データの解析や従来の予測を行う『分析プラットフォーム』、データを収集・統合する『データプラットフォーム』の3つを打ち出した。 「NPSの強みに、NECの強みをかけあわせ、シナジーを生み出す。NPSの共通業務プラットフォームにNECの分析プラットフォームを組み合わせて新たな付加価値を創造する。今後、3つのプラットフォームをさらに充実させる」(新野社長)と述べた。
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