工場における無線通信安定化を実現 NICTなど
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とトヨタ自動車は、工場の無線通信安定化を目的としてNICTが策定した評価方法「製造現場をガッカリさせない無線評価虎の巻」の有効性を確認するために、トヨタ自動車高岡工場の部品搬送工程において実証実験を行い、同評価方法の有効性を確認したと発表した。今回、同工場の部品搬送工程で、搬送機器を自動運転化する無線システムの導入実験を行った。具体的には、同評価方法に基づき、搬送機器と工場内のアクセスポイント間の通信状態を把握(情報収集)。搬送機器から遠いアクセスポイントの除外(処理)と、電波が強まったり弱まったりする状況下で通信の自動切替え(制御)を行い、無線通信の安定化を実現することができたという。この結果、無線システム導入を検討している様々な現場での『無線システムの本格導入までの検証ステップ』の短縮が期待できるとしている。この研究開発の一部は、総務省の「電波資源拡大のための研究開発」における2つの委託研究における「リアルタイムアプリケーションを支える動的制御型周波数共用技術に関する研究開発」により実施している。 製造現場を支える無線システムの安定化技術の実験に成功工場の部品搬送工程では、搬送機器の導入が進んでいるが、同じエリア内に複数の独立した無線システムが混在するため、無線干渉により、通信が不安定化する。また、金属体などの遮蔽物が多い場所では、人やモノが移動することで無線環境のダイナミックな変化によるトラブル事例が報告されているところだ。現場に必要とされるスペックを満たす無線システムを導入しても、実際は無線環境次第で機能を発揮できないことがあり、その原因を特定するために手間がかかることがこれまで課題となっていた。 このようなことからNICTのフレキシブル・ファクトリー・プロジェクトは、2021年6月に、製造現場に無線システムを導入する際に無線環境の課題を把握するための評価方法「製造現場をガッカリさせない無線評価虎の巻」を策定した。 今回、NICTとトヨタ自動車は、トヨタ自動車高岡工場の部品搬送工程で、搬送機器を自動運転化するために導入予定の無線システムに関して、評価実験を行った。まず、搬送機器に計測システムを設置して無線の状態を計測し①搬送機器と工場内のアクセスポイント間の電波到達距離や受信信号強度②通信遅延と通信のパケットロス数」を把握した。 その結果、『無線システムが現場で必要なスペックを下回っていること』と、その原因が『適切なアクセスポイントにつながらないことによるパケットロスや通信遅延にあること』が明らかになった(情報収集)。
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