多言語音声翻訳に関する専門ブリーフィング開催―総務省
総務省は、多言語音声翻訳に関する専門ブリーフィングを開催した。国際戦略局の吉田眞人氏は「グローバルコミュニケーション計画」の取組状況について次のように説明した。世界の「言葉の壁」をなくし、グローバルで自由な交流を実現する「グローバルコミュニケーション計画」を推進するため、情報通信研究機構(NICT)が開発した多言語音声翻訳技術の精度を高めるとともに、民間が提供する様々なアプリケーションに適用する社会実証等を実施する。これにより、ICTを活用したイノベーションを加速し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、同技術を活用して「言葉の壁」がない社会をショーケースとして世界に発信する。多言語音声翻訳技術について、医療やショッピング等の旅行分野以外の会話の翻訳精度を向上するとともに、対応言語数を拡大する。また、雑音対策や長文翻訳など、翻訳精度の向上に向けた研究開発を実施する。病院、商業施設、観光地等における社会実証では、産学官の連携により、多様なアプリケーションの社会実証を集中的に実施する。 NICTでは、多言語音声翻訳システムの社会実装を促進させるために、スマートフォンアプリ「VoiceTra」を開発。31言語間の翻訳が可能で、最新バージョンを2015年10月に公開した。最新バージョンは、タイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、スペイン、フランス語の旅行会話の翻訳精度を英中韓と同等レベルに向上するとともに、英中韓については駅名等の固有名詞を充実するなど機能を拡張した。 総務省とNICTは2017年9月、オール・ジャパン体制で様々な分野の翻訳データを集積する「翻訳バンク」の運用を開始した。質の高い大量の翻訳データの集積を進めることにより、様々な分野における自動翻訳利用への対応、翻訳精度の一層の向上を進め、自動翻訳技術をみんなで育てながら利用する好循環環境の実現を目指す。 ◇ ◇ 一方、展示会場では、ソースネクストが大幅にバージョンアップした双方向自動翻訳機「POCKETTALK(ポケトーク)W」を展示した。言語の組み合わせにより最適な翻訳エンジンを使用しており、そのうちの一つとしてNICTの翻訳エンジンを採用。これにより、中国語やタイ語などアジア圏の翻訳精度の向上を実現した。同製品は、本体サイズはそのままに画面は従来比約3.2倍で、タッチパネルを採用した。通信は4Gに対応し、翻訳スピードは7.5倍と向上した。グローバル通信SIMを搭載し、設定不要ですぐ105の国と地域で使える。74言語に対応し、インド英語やオーストラリア英語など、同一言語の異なるアクセントにも対応する。「ポケトークセンター」で翻訳履歴の保存が無制限で、ブラウザへリアルタイム表示する。進化したスピーカーにより、飛躍的に向上した音量・音質を実現した。 ログバーは、オフライン音声翻訳機「ili(イリー)」の訪日外国人旅行客を受け入れる事業者向けモデルとして、2018年7月から「ili PRO(イリープロ)」のサービスを開始した。ネットワーク環境を必要とせず、訪日外国人旅行客への接客コミュニケーションを可能にする。同製品は、ネットワークに接続する必要がなく、電波の弱い山の上や田舎の町でも、いつでも安定的に利用することが可能。接客向けのあらゆるシチュエーションに対応するために、一般会話までカバー範囲を広げ、接客分野の精度と翻訳範囲を強化した。宿泊施設、販売店、交通機関、飲食店、病院など接客業務を行う事業者に使いやすくなっている。「ili PRO」では、独自技術のSTREAM(ボイス・ストリーミング・トランスレーション・システム)進化版であるSTREAM2を搭載し、最速0.2秒の瞬間翻訳に加え、オンライン型翻訳機並みの翻訳精度を実現した。言語は英中韓に対応している。 パナソニックは、公共機関や様々な業界の法人向けにメガホン型翻訳機を活用した多言語音声翻訳サービス「メガホンヤク」の提供を2016年12月から開始した。空港、駅といった交通機関や、展示会、イベントなどホールやスタジアム等、様々な場所や場面で来場者や顧客の誘導をスムーズに行うことができる。日本語を英中韓に翻訳する。業界特有の文章(定型文)を登録し、日本語の発話内容を認識して翻訳・再生する。約400のプリセット定型文を含め、ワード選択で約2600パターンを利用可能。録音や再生など基本操作は手元のボタンで簡単に行える。要望に合わせて定型文の追加登録ができるクラウドサービスを提供している。(全文は1月1日号に掲載)
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