東芝、医療ベンチャーIDDKへ出資と業務提携

 東芝は、コーポレートベンチャーキャピタル活動の一環として、顕微鏡を使わない顕微観察技術としてマイクロイメージングデバイスを開発しているIDDK(東京都江東区、上野宗一郎社長)への出資を決め、4月17日に出資が完了したと発表した。また同社とIDDKは、同社の精密医療分野で新しい病理検査システムの共同開発推進を目的に協力関係を構築することに合意し、業務提携契約を締結した。2022年の臨床性能試験開始を目標に研究開発を進め、がんの早期発見と診断精度の向上を目指す。              ◇ 同社は、同社が保有する生分解性リポソーム技術とIDDKが保有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いた独自の光学技術を組み合わせ、生きた細胞内の遺伝子の活性状態を観察可能な生細胞活性可視化技術による診断デバイスの開発を進める。生細胞活性可視化技術とは、同社が開発した、がん細胞の増殖や構造異常に関わる遺伝子活性に着目し、生きた細胞内の遺伝子の活性状態を観察することができる技術。主に遺伝子の活性状態を可視化する生分解性リポソームと細胞培養および観察に適したCMOSイメージセンサーで構成される。同社独自の分子構造設計技術を適用した生分解性リポソームは、内包した遺伝子を細胞内へ安全に運搬するナノカプセルであり、これにより患者から採取した細胞に遺伝子活性を発光に変換する検査用遺伝子を高効率で導入することが可能。生分解性リポソームを投与した細胞は、細胞培養用に独自に開発したCMOSイメージセンサー上で培養することで、遺伝子が活性状態に応じて発する微弱な発光をリアルタイムで撮像することができる。 同社は、精密医療事業を本格的に推進するため、「一人ひとりのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を応援します」「積み重ねた技術力と、新たなパートナーシップでこれからの先進医療・ライフサイエンスを支えます」「次の世代も見据えた予防医療にデジタルの力を活かします」の3つを目標とする「精密医療ビジョン」を実現するため、同じ未来を志すパートナーとともに、予防から治療まで一人ひとりに寄り添った精密医療の実現に貢献する考えだ。