イートラスト 酒井社長らに新春インタビュー

イートラスト(東京都台東区、酒井龍市社長)は、「社会に必要とされる存在」であり続けることを経営方針に掲げ、企業活動の軸としてきた。電気・通信事業をコアに、持てる限りの技術と知恵を注いで顧客の抱える課題─とりわけ、防災や環境といった公共性の高いものの解決に全力で取り組んできた。昨年5月には、総務省による情報通信技術分野の競争的研究費「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の令和5年度開発課題(電波有効利用促進型)の公募において、同社の研究開発「60GHz帯ミリ波レーダーを利用し都市型水害に対応したAI水位センサーの研究開発」の提案が採択された。また、水位計以外の事業で同社は、簡易型河川監視カメラの増設需要にすばやく対応し、AIによる河川水位検出ができる次世代カメラの実用化を進めてきた。新年にあたって酒井社長、今井彰ソリューション開発事業本部エッジAIソリューションプロジェクト担当部長に今年の事業展開などを聞いた。

――昨年を振り返って、業界の動き及びイートラストの事業展開についてお感じになったことは何ですか
酒井「防災、電気通信分野でも『お客さまのDX化(デジタルトランスフォーメーション)』がキーワードになっています。ただ電気設備、通信設備の業界では、それがなかなか進んでいません。その中で私どもは『DX化』に向けて取り組んでいますが、全社を挙げてシフトできていないというのが感想です」
――「簡易型河川監視カメラでAIによる河川水位検出」の開発状況についてお聞かせください
酒井「私どもは、全国に約2500台の簡易型河川監視カメラを設置しています。この次期型カメラをバージョンアップする中で、エッジAIカメラの開発に取り組んできました。PoC(概念実証)で、実証実験を行い評価を進めていましたが、実用化の目処がつきました。エッジAIカメラの実用化の状況が整いました。昨年秋に、1件名正式に受注し、今年度末に納入するのが決まりました。具体的には、ベースにスマートフォンを利用します。スマートフォン上でAIを使って、河川の画像から水位データを読み取るというものです。私どもの簡易型河川監視カメラは低消費電力で、小型のソーラーパネルとバッテリーで運用ができて、高感度で夜間でも活用できて月明かり程度ではっきりと見えるというのが特長ですが、そこにAIを搭載することでさらに機能向上を果たしました」

写真は カメラ撮影画像

(全文は1月1日付16面に掲載)

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。