JEITA、電子情報産業の世界生産見通しを発表

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) は、2023年12月21日に同協会大手町オフィス(東京都千代田区)およびオンラインのハイブリッド開催で、小島啓二代表理事/会長(日立製作所代表執行役執行役社長兼CEO)が会見し、「電子情報産業の世界生産見通し」を発表した。それによると、2023年の世界生産額は3兆3826億ドル(対前年比3%減)を見込んだ。2024年は対前年比9%増で過去最高の世界生産額を更新する見通しとした。同調査は2007年より継続して実施しているもので、世界の電子情報産業の生産規模をデータにより明確にするとともに、世界における日系企業の位置づけを把握することを目的として、会員各社を対象としたアンケート調査の結果を取りまとめて推計している。なお、為替レートは2021年:109・5円/ドル、2022年:130・8円/ドル、2023年:138・6円/ドル、2024年:138・6 円/ドルとしている。2023年は2023年1―10月の単純平均レートを使用、2024年の為替は2023年と同一とみなしてアンケート調査を実施した。

電子情報産業の2023年の世界生産額は、対前年比3%減となる3兆3826億ドルが見込まれている。エネルギーや原材料価格の高騰、地政学リスクの高まりなど不透明感が強く、個人消費や設備投資が鈍化する環境の中、デジタル化の投資拡大でソリューションサービスは伸長したものの、それらを補うまでには至らない見込みとなった。2024年は、インフレの鎮静化が遅れるなどの景気リスクは残るものの、デジタル化による社会や企業を変革する動きが世界各国で進み、電子機器やデバイス需要の回復、ソリューションサービスの需要拡大も見込まれることから、世界生産額は前年比9%増の3兆6868億ドルとなり、過去最高の世界生産額を更新する見通しだ。
2023年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は、前年比1%減となる39兆6843億円が見込まれている。円安により価格競争力が高まった電子機器が安定的に推移、データ活用の高度化による進展でソリューションサービスが増加したものの、電子部品・デバイスが減少となったことが要因だ。国内生産額は前年比1%減の10兆8536億円が見込まれている。今後はデジタル化投資の加速により、ソリューションサービスが伸長、電子部品・デバイスの生産も回復が見込まれることから、2024年の日系企業の世界生産額は、前年比5%増の41兆5638億円を見通した。国内生産額は前年比6%増の11兆5119億円と見通している。
電子部品やデバイス、電子機器やIT ソリューションを中核として、他の製造業やサービス業などあらゆる業種の企業が集う「デジタル産業の業界団体」であるJEITAは、社会のデジタルトランスフォーメーションの一翼を担う立場として、日本経済のさらなる活性化やSDGsの達成、そしてSociety5・0の実現に貢献すべく、その責務を果たしていく―としている。

記者会見での小島啓二JEITA会長の冒頭説明は次の通り。
半年前の会見で、ここ数年における社会変化について「新型コロナを契機としたデジタル化の加速」「企業行動に対する価値認識の変化」「経済安全保障の確保」の3つを述べましたが、それらがより一層加速した年であったと感じています。
今年は生成AIが爆発的に普及した年と言えます。急速に進歩するデジタル技術を、どのように使いこなすか、どのように社会実装するかが、社会課題の解決や経済成長に直結します。そして社会のデジタル化のカギを握るのが半導体です。
政府・与党におかれましては、各国で半導体の投資競争が激しさを増す中、(2023年)11月29日に国内投資促進を盛り込んだ補正予算を成立いただきました。また、今月14日に公表された与党税制改正大綱に、「戦略分野国内生産促進税制」と「イノベーション拠点税制」の創設をセットで明記いただきました。
関係各位のご尽力に感謝するとともに、ソフトウェアやデジタル技術の社会実装に向けた強力な施策が引き続き講じられることを期待しております。

写真は 小島JEITA会長

(全文は1月1日付5面に掲載)

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。