CIAJ 通信機器中期需要予測「23~28年度

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、「通信機器中期需要予測「2023年度~2028年度」を発刊した。2023年度の通信機器の需要総額は4兆2193億円(前年度比2・6%増)、国内は3兆8319億円(同3・5%増)、輸出は3874億円(同5・7%減)と予測した。
2022年度の日本経済は新型コロナ禍による減速からの反動で高成長となった2021年度と比べて成長は鈍化したが、通信機器市場では、モバイル通信端末は、円安や部材費高騰の影響により端末価格が上昇して需要金額が増加、ビジネス関連機器は、半導体などの部品不足影響による供給制約から回復するとともに、オフィス回帰などによる設備投資が増えて需要が増加、インフラ・インターネット関連機器はテレワークや動画配信サービスなどによる高速大容量データトラフィックが増え、供給制約の解消もあって需要が増加するというプラス要因によって、需要総額は4兆1138億円(2021年度比15・7%増)と大幅に増加した。
2023年度の日本経済は個人消費、設備投資とも内需の弱さが懸念されている中で、供給制約が解消して需要増となった2022年度からの反動減で低迷する機器もあるが、部材費や輸送コストの高騰などによって単価が上昇して需要金額が増加する機器もあり、高速大容量データトラフィックがさらに増加していることから需要が増加する機器もあって、需要総額は4兆2193億円(前年度比2・6%増)になると予測している。
今後のICT産業では、新型コロナ禍後の社会生活の変革において、デジタル化・サプライチェーン強靱化・人手不足対応などの構造的な社会課題を解決するために、5G/ローカル5GやBeyond 5G/6Gの新たな技術を進展させるとともに、デジタル化に向けた新たな音声・映像ソリューションの創出、省人化を支えるロボットやIoT・AIの活用、国内生産拠点整備や自動運転などの物流システムの変革、今後も増え続ける高速大容量データ通信を支える通信インフラ・ネットワークの整備などを、多くの産業界との共創を通じて推し進めることにより、豊かで安心な国民生活を創出し、デジタル化・カーボンニュートラルの推進に貢献していく。この中で2028年度の需要総額は4兆5429億円(2022年度比10・4%増)になると予測した。

(全文は1月3日付け2面に掲載)

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。