新BS局「BS10」の放送がスタート 髙田社長が放送への強い想いを語る
ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市、髙田旭人社長兼CEO)傘下でBS放送事業を行うジャパネットブロードキャスティング(東京都中央区、佐藤崇充社長)は1月10日、新チャンネル「BS10(ビーエステン)」の放送を開始した。
ジャパネットブロードキャスティングが2022年3月に開局した無料BS放送「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」と、同社が24年4月に東北新社から買収した有料映画専門チャンネル「スターチャンネル」が融合し、新たに「BS10」「BS10スターチャンネル」として放送を開始した。「スターチャンネル」が持つBS10チャンネルの枠に、263chで放送していた「BSJapanext」を移し、「BS10」(194ch)とし、サブチャンネルに「スターチャンネル」を設置し、「BS10スターチャンネル」(195ch)として放送する。BS放送での無料放送と有料放送のハイブリッド型運営は国内で初めての取り組みとして大きな注目を集めている。
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1月10日、新チャンネルの放送スタートに合わせ、ジャパネットホールディングスとジャパネットブロードキャスティングが東京都中央区新川のスタジオで記者会見を開いた。会見には、ジャパネットホールディングスの髙田旭人社長とジャパネットブロードキャスティングの佐藤崇充社長が登壇し、BS放送事業の取り組みや参入する意義、新チャンネルの編成方針について述べた。
髙田旭人氏コメント
まず、ジャパネットホールディングスの髙田社長は「ほとんどの方は当社は通信販売の会社、という印象が強いと思いますが、実際はグループ会社が16社あります。通信販売事業4社、長崎ヴェルカやスタジアムシティなどのスポーツ地域創生事業の2つの柱に加え、旅行事業、イノベーション事業、コミュニケーション事業など幅広く展開しております」とジャパネットグループの内訳を紹介し、「これらの事業は通販事業やスポーツ地域創生事業の両方に跨っている構成になっています。今回開局を迎えるのは、コミュニケーション事業です。現状では、グループの売り上げ2680億円のほとんどが通信販売事業によるものですが、そこに今回テレビ局が入ってくると、おそらく『BS10』、『BS10スターチャンネル』で100億を目指す会社になると思います」と事業規模を説明した。また「取材を受けていると『ジャパネットは多角化していますね』と言われることがありますが、多角化という感覚は全くありません。ジャパネットグループのポリシーである“見つける、磨く、伝える”から離れていないと考えています。今回の『BS10』『BS10スターチャンネル』もまさにこの流れに沿った取り組みになりますので、新しいテレビ局の取り組みとして注目いただければと思います」と力説した。
BS放送事業に参入する意義については、「2022年3月からBS放送にBSジャパネクストとして参入してまいりました。2年と少しやっていて、いい番組を作ってもなかなか観てもらえない難しさを実感してきました。アプリを作り、40万ダウンロードから180万ダウンロードと数を伸ばし、アプリでも観られる環境も整えましたが、それでも難しく赤字も出ました」とテレビ事業の厳しさに触れた。そして「このままだといくら想いがあっても続けられない、撤退するか進むのか、協議を重ね、その時、リモコンの中にあるチャンネルボタンに移行できないか、ということになり、BS10チャンネルにあった『スターチャンネル』の親会社である東北新社様にお願いして半年ほど交渉を重ね、友好的にM&Aをすることができました」と経緯を明かした。「この過程は本当に難しく、チャンネルを(別のチャンネルに)移すということは過去に実例がありませんでしたが、総務省の皆様や各種業界団体の皆様に前向きに協力いただき、たどり着くことができました」と新事業の立ち上げを振り返った。そして「テレビは魅力的なものであるものの、最近はインターネットやSNSなどに押されていることは実感しております。その中で、例えば若い人や子どもたちがインターネットやSNSで自分たちの好きな情報だけ選んでいることが当たり前になってきていて、新しい情報に触れる機会がないことを個人的に危惧してきました」と思いに触れ、「もっと知れば楽しい世界や、新しい趣味や新しい考え方が得られるテレビに向かっていきたい」とBS参入に込めた思いを語り、「これから多くの方の目に触れるチャンネルになることで、皆様に魅力的なコンテンツをお送りできるよう努力していきます。自然体で安心して見ていられるテレビ局というものをこれから作っていきたい。世の中にある、スポーツ・エンタメ・映画・趣味・クイズ・地域の魅力、そういう埋もれたものもジャパネット流に徹底的に磨いて、皆様に正直にジャパネットらしく届けていきたいと思います」と語った。
佐藤崇充氏コメント
続いて、ジャパネットブロードキャスティングの佐藤崇充社長は「BS10」の編成特徴や強化コンテンツについての発表した。
「通販番組だけを流すチャンネルだと思われていますが、世の中に埋もれている、良いものを見つけて磨いて売っていくというのは、通販だけではなく、映画・ドラマも一緒で、こちらもさらに磨いて売っていきます。旅事業を通じた番組など、番組を通じて世の中にいいものを届けていきたいです。BS放送に乗せるだけだはなく、アプリで視聴者とつながることも、これからも大事にしていきたい」と力説した。またスポーツについても注力するとし、「配信も含めて面白いコンテンツが増えることは良いことですが、たとえば無料でスポーツに触れる接点をお届けして、その魅力が広がっていくことにも非常に意義があります。そこを通じてスポーツ人口が広がることもあるし、ゴルフやバスケ、麻雀の対局など、生放送にもこだわって放送していきたい」と編成方針を語った。さらに同チャンネルの有力コンテンツの一つで、今年50周年を迎える「パネルクイズ アタック25 Next」については「番組のいい部分は残しつつ、リニューアルも行っていく」とし、映画については、「『BS10』の無料チャンネルで(有料チャンネルの)『BS10スターチャンネル』と組んだ強みを出していきたい。新しい番組の見方を視聴者の皆さんと探っていきたい。何を見ていいかわからない方にも見つけて、磨いて、伝えていきたいです」とし、「スターチャンネルに加入したい方は直接契約ができる環境が整いました。無料と有料のハイブリッドは前例がないが、放送業界に新しい風を吹かせていきたいと思っています」と同社の強みをアピールした。
(写真㊧髙田旭人氏、同㊨佐藤崇充氏)
この記事を書いた記者
- テレビ・ラジオの番組および会見記事、デジタル家電(オーディオ、PC、カメラ等)、アマチュア無線を担当
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