NHK稲葉会長

NHK 稲葉延雄会長 新春特別インタビュー「放送の持つ社会的役割はこれからも変わらない」

NHKは昨年12月1日、衛星放送(BS)の再編を実施し、「NHK BS」と「NHK BSプレミアム4K」として新たなスタートを切った。同10月には厳しい財政状況の中、受信料の1割値下げを行っている。今後もさらなる構造改革を進め、1000億円規模の支出削減を行い、2027年度に収支均衡を目指していく。
また、2024年度から新たな経営計画がスタートする。同計画では「情報空間の参照点」および「信頼できる多元性確保」を基軸に、アカウンタブルな経営を徹底していくという。
2023年1月に会長に就任した稲葉延雄氏に、会長就任1年を振り返ってもらうとともに、新経営計画のコンセプト、「改革の検証と発展」、新放送センターの建設状況、NHKプラスに加え、視聴者およびNHKへのメッセージなどを聞いた。

――2024年1月で就任されて1年となりますが、この間、特に心に残ったできごとなどをお願いします。
稲葉 昨年の1月25日にNHK会長に就任して以来、就任前の自分の想像を超えた刺激的な毎日で、あっという間に1年が経ったというのが本音です。私のところには毎日、各部局からさまざまな報告や相談が来るのですが、NHKが担っている業務範囲は非常に幅広いということを改めて実感すると同時に、責任の重さも感じています。
1年間本当にいろいろなことがありましたが、やはり自分として一番心を砕いたのは、2024年度から3か年の次期中期経営計画の策定に向けた検討作業です。私は、ものごとを決める際にはみんなで意見を出し合い、合議のもとで決めていくという信念を持っていますが、今回の経営計画の検討にあたっては、役員全員が参加する会議を30回以上開いて徹底的に議論を重ねました。昨年10月に実施した受信料の1割値下げによって、かつてNHKが経験したことのない大幅な減収となる中で、役員全員で知恵を出し合って考え抜いた結果、2027年度に収支均衡を達成する目鼻をつけることができました。財政面だけでなく、内容的にも民主主義の国の放送機関であるNHKとしてどの様な役割を担うべきかを真剣に考え、骨太の計画に仕上げることができたと思います。検討のプロセスも含めて、非常に良い議論ができたと満足しています。(全文は1月3日号6・7面に掲載)

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。