ケーブル技術ショー2021 ミハル通信
ミハル通信は「ケーブル技術ショー2021」に出展し、4K超低遅延伝送+高度ケーブル自主放送やBSトランスモジュレーション、ダイバーシティ地デジシグナルプロセッサー、FTTHソリューション、HFCソリューション、『M―3 保守サービス』を展示紹介した。 『4K超低遅延伝送+高度ケーブル自主放送~高度ケーブル自主放送のスモールスタートはお任せください!~』のゾーンでは、「ELL 4Kエンコーダ/デコーダ」を参考展示した。同社は超低遅延超高解像度映像音声IP伝送システム」を開発。「ELL(Extreme Low Latency) 4K8K」では放送や医療、エンターテーメント、セキュリティーなど様々な用途、ソリューションを提案している。今回「ELL 4Kエンコーダ」でエンコードした信号を、IP網を使って「ELL 4Kデコーダ」経由で映像配信するシステムを紹介。およそ30msという超低遅延の映像配信が行える。CATV自主放送の素材伝送・監視カメラの伝送等に利用可能だ。 尾花毅取締役技術統括本部長は「超低遅延伝送システムは、昨年の第3回4K・8K映像技術展2020やInter BEE2020(オンライン)に展示しましたが、ケーブルテレビ事業者様にとっても、イベントなどの4K・8K映像素材をCATV局のエンコーダまで超低遅延で伝送する、また、映像のスイッチングする際に超低遅延が必要ではないかと今回、出展しました。デモンストレーションでは、4Kカメラの映像をELL 4Kエンコーダでエンコードして、ELL 4Kデコーダでデコード、伝送前(エンコード前)と伝送後で殆ど映像に遅延ないデモを御覧いただいています。さらに、放送用のケーブル4KのSTBで受信できるHEVC方式で再エンコードして、ACASはかかっていませんが、256QAMで変調してSTBからテレビへの表示のデモもお見せしています」と話した。 同コーナーで展示された高度ケーブル自主用 HEVCエンコーダは、高度ケーブル自主放送システムにCATV局のローカル番組を挿入可能なHEVCエンコーダ。2Kで5Mbps~、4Kで17・5Mbps~という高画質エンコードエンジンを搭載した。特長は▽MGSRサブラックに実装可能なユニット構造▽映像符号化方式H.265/HEVC▽音声符号化方式MPEG―2 AAC 5・1ch/ステレオ/デュアル/モノラル▽HDR/SDR対応(4Kのみ)▽TS over IP出力機能搭載(ASI、IP同時出力可能)。 ローカル自主放送用ACASスクランブラは、CATV局独自番組にACASスクランブル処理が可能となるスクランブル装置。特長は▽冗長電源搭載した1Uタイプ▽JLabs SPEC―035―01 ローカル自主放送スクランブル装置運用仕様対応▽最大4サービスのACASスクランブル▽専用コントローラによる設定/制御▽前面ディスプレイ/コントローラ/接点制御からスクランブルOFF/ON制御が可能▽TS入出力はASIまたはIP両対応。 高度ケーブル自主放送用ユニットは、プラットフォーム事業者より配信されるマルチキャストストリームをIP受信、多重、SI/EPG生成、QAM変調まで一体化したユニット。特長は▽JLabs SPEC―035 パターン2、パターン3に対応したユニットをそれぞれラインアップ▽IP受信部を2ポート搭載しIPネットワークの無瞬断切り替えに対応▽IP入力を使用したN+M予備機冗長 予備機:最大3ユニット▽4K/2Kコミチャン追加対応。 MGSRシリーズのサブラックは、TS over IP信号を直接受信できる。高さ3U、最大11スロット実装可能。電源ユニット冗長対応。ユニット前面保守可能。各ユニットにはバックボードを介してIP信号が入力されるので、LANケーブルを配線する必要がない。 ◇ 『BSトランスモジュレーション~MGSRシリーズにRF+IP冗長機能を搭載したBSトラモジをラインアップ~』のゾーンでは、MGSRシリーズBSトラモジユニットで入力冗長機能を強化した点などを紹介した。RF入力冗長(アンテナバックアップ)では、自局アンテナと光伝送による予備系アンテナとの受信点冗長が可能。RF+IP入力冗長(相互バックアップ)では、自局アンテナとIP伝送による予備系アンテナとの受信点冗長が可能。いずれも無瞬断で切替可能であり、切替時の映像音声に影響がない。 同ユニットの特長は次の通り。 ▽MGSRシリーズサブラックに実装可能なユニット形状▽STBダウンロード機能を搭載しているため、STBダウンローダーの用意は不要▽BSアンテナ入力を2系統搭載し、品質劣化時の自動切替えが可能▽BSアンテナとIP配信ネットワークとの冗長構成に対応▽IP出力部を搭載し、BSアンテナ信号を復調したTSをマルチキャスト出力し、IP冗長システムの配信元としても使用可能▽IP入出力部は、ProMPEG FECに対応しており、ロスパケットの復元が可能―など。 「BSトランスモジュレーター(2K)の導入から10年以上経ち、そのリプレイス需要も考慮して新型のBSトランスモジュレーターを開発しました。新タイプは、バックボード側(ユニット側)がギガビットイーサに変わっており、信号のバックアップをIPで行えます。降雨減衰が発生した時に本社の局舎ビルに設置したアンテナと、例えば50㌔㍍、100㌔㍍離れている局舎にあるアンテナで同じトラモジが入っている場合、ネットワークを介したアンテナの相互バックアップができる仕組みになっています。本局で降雨減衰等により停波しても、離れている局舎からのIP信号を受信することで、入力冗長機能により無瞬断で放送を継続することができます」(同)。 『ダイバーシティ地デジシグナルプロセッサー~フェージング対策はミハル通信にお任せ!常に進化を続けるシグナルプロセッサー~』のゾーンでは、遅延差をつけた地デジ信号のシームレス切替を実演した。同社のダイバーシティシステムでは、約2000μsまで遅延補正が可能で、外部に遅延器が不要だ。さらなる新機能として、グラフ表示でフェージングの状況がひと目でわかるMER、レベルログ解析オプションのデモを実施した。また、周波数の違うMFN環境に対応したMFN受信機能の搭載を今年度予定している(ログ解析オプションとMFN受信機能は同時リリース予定)。 「大きな遅延差も『自動遅延設定』機能で簡単に設定できます。『自動遅延設定』機能が付いていない場合は、アンテナ同士の遅延差を計測器で測定してシグナルプロセッサーにセットする必要があります。技術面に長けた人間が設置に行かなければならず大変でした。また、カスケード接続で、3アンテナ以上のシステムにも対応できます。最大4アンテナでの実績があります」(同)。 『FTTHソリューション~導入実績多数あり!新規・リプレイス案件ともにお任せください!~』のゾーンでは、光ファイバー増幅器MOSFシリーズ、3224MHz外部変調型光送信器、3224MHz V―ONU、GE―PON OLT MGES4シリーズを出展した。 光ファイバー増幅器MOSFシリーズは、2019年リニューアル設計完了。サブラック累計900台以上出荷している。N+1光スイッチで光ファイバー増幅器の故障をバックアップする。光入力レベルを常時監視し、異常となったポートを自動で予備系へ切替。予備系運用中に、故障した光ファイバー増幅器を交換・修理可能だ。光ファイバー増幅器を現用8台に対して予備機1台で構築でき、効率的だ。 「MGES4シリーズは、3UでPONインターフェース磁気カードが12枚実装でき、1枚で2PONのサービスが行えるので24PONを1台でまかなえます」(ミハル通信)。 3224MHz外部変調型光送信器は、FTTHシステムおよび局間光伝送システムに最適。高品質な伝送性能を維持しながら長距離伝送を実現する。特長は▽伝送帯域は70~770MHz、1000~3224MHz▽SBS抑圧機能を実装しており光アンプとの組み合わせにより高いパワーで光伝送路へ入射可能▽70~770MHz帯、1000~3224MHz帯各々に独立した調整機能を実装しており、帯域毎に信号レベルの補正が可能―など。 3224MHz V―ONU(V600―32シリーズ)は、4K・8K対応。標準型、無給電FM専用端子型、無給電RF/FM共通端子型の3種類をラインアップし、多様なシステムに対応可能だ。 『HFCソリューション~チャンネルプロセッサー新製品リリース!今年度もHFC製品の生産を継続します!~』のゾーンでは、チャンネルプロセッサーを展示。難視聴対策・受信障害対策に最適な新製品をリリース。信号処理方法をアナログ信号処理(中止部品多数)からデジタル信号処理へ変更。特長は▽UHF帯域の地上デジタル放送信号を最大11波、再送信することが可能▽周波数変換方式(地上デジタル放送のみ対応)を指定することにより、250MHz、300MHz伝送路において地上デジタル放送を伝送することも可能―など。同社は、HFC製品群では、専用部品生産中止が相次ぐ中、2018年に掲げた2028年までのHFCサポートを継続する。 「新製品のチャンネルプロセッサーは、不要波の信号処理をアナログフィルターではなくデジタルフィルターで行っています。従来は筐体内部にチャンネルごとにユニットが入っていたのですが、新製品はチャンネルプロセッサーがすべてのチャンネルの信号を一括で処理して出力するという最新技術を搭載しました。また、従来のチャンネルプロセッサーは入力信号レベルが低下し規定しきい値を下回った際に出力信号をOFFする機能があり、信号が復帰した際の過出力により他の信号に影響を与えないようにしておりました。しかし、今回はこの機能を無くし、デジタル信号処理により過出力とならないような機能を実装しました。この機能により、信号レベルが低くなった場合にギリギリまで信号を出し続けることも可能としました」(尾花氏)。 ◇ 『M―3(エム・トリプル)がヘッドエンド装置をリモート保守』のゾーンでは、M―3の詳細を紹介した。M―3(エム・トリプル)は顧客ヘッドエンドシステム機器情報、ステータスをリモート監視・運用支援する管理プラットフォーム。同社製ヘッドエンド装置の各種情報、ステータスを把握し、〝お客様〟の運用を支援する。障害が発生した際には遠隔で復旧支援が可能。稼働中装置の状態や各種ソフトウェアのバージョンを把握することができる。 リモート保守サービスの基本構成は①保守サポート(基本サービス〈平日9時~17時対応、24時間365日対応〉)、オプションサービス〈点検、駆け付け、先出しセンドバックなど〉)②ハードウェアの状態を把握(ファームおよびPLDのバージョン、稼働台数の変化、死活状態などを把握し、復旧支援を行う)③ソフトウェア(コントローラ)の状態を把握(ステータス、バージョンを把握し、最新版を提供する)④リモート保守専用クラウドサービスを利用(専用VPN回線を開設することなく構築可能)―となっている。 「M―3(エム・トリプル)の名称はMaintenance,Management, Monitoringの頭文字を意味しています。ヘッドエンド装置に万が一、障害が発生した際、例えばEPGが出ない場合、録画予約して楽しみにしていた番組が録画できなかったと加入者様より問い合わせやクレームを受けることがあると聞きます。M―3では、ネットワークを介してヘッドエンド装置とつないで障害時の対応やお問い合わせに即座に対応できます。また、当社のFTTH監視装置と組み合わせることで、FTTH化によって複数のサブセンターをもつ事業者様では、障害が起こった場合、これまでは各サブセンターに行かなければいけなかったのが、FTTH監視装置を使用してリモートで動画を確認しながら状態を切り分けすることもできます」(ミハル通信)。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ