【特集】ジャパンドローン展報告 ドローン特化の国内最大規模専門展示会
「Japan Drone2023/次世代エアモビリティEXPO 2023」が6月26日(月)から28日(水)まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。主催は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)。共催は株式会社コングレ。 Japan Droneは2016年の初開催以来、今回で第8回目。ドローンに特化した国内最大規模の専門展示会で、22年12月施行の改正航空法に伴う課題解決に向けた具体的なビジネスマッチングの場を提供した。 同時開催展である次世代エアモビリティEXPOは新たな空の移動革命として期待される「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けた取り組みの実現を支援するため開かれた。 来場者数は3日間合計で1万9008名(前年は1万7021名)。 次回「Japan Drone2024/次世代エアモビリティEXPO 2024」は2024年6月5日(水)~7日(金)に幕張メッセで開かれる。 ブルーイノベーションは「Japan Drone 2023」の同社ブース内にて、世界で初めてドローンポートの国際標準規格「ISO5491」に準拠し、複数・異機種のドローン離発着を安全に管理する「ドローンポート情報管理システムβ版」の発表を行った。また、出展企業で唯一、報道関係者向けに施設点検ドローン操縦体験会を屋外体験ブースで行った。 熊田貴之ブルーイノベーション社長CEOが挨拶した。 当日の発表のひとつが「世界初、物流用ドローンポートの設備要件を国際標準規格化」。ブルーイノベーションが2020年4月より進めてきた、ドローンポート(ドローンの離発着場でありドローンの格納や充電などの付帯機能などを備えたハードウェアのこと)およびドローンポート情報管理システム(VIS、ドローンポート、気象センサーや侵入検知センサーなどの周辺機器、およびそれらの情報を統合管理するシステムソフトウェア)を含めた物流用ドローンポートシステム(ドローンポートおよび各種センサーなどのハードとドローンポート情報管理システムを内包したシステム)の設備要件の規格が、2023年6月2日に国際標準化機構ISOより「物流用ドローンポートの設備要件に関する国際標準規格ISO5491」として正式に発行された。 同規格は、経済産業省の委託事業(省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費省エネルギー等国際標準開発(国際標準分野〈新規対応分野〉)において取り組んできたもので、日本発の提案に基づき関係各国・地域や企業との協議・調整等を経て、150㌔㌘以下のドローンを扱うドローンポートが自動離着陸オペレーションを実現するために必要なインフラストラクチャと機器の要件について、世界で初めて国際規格として採用され発行に至ったもの。 これにより、世界各国・地域で個別に進められていたドローン物流におけるドローンポートシステムの開発や運用実証、事業化検討などが同国際規格に基づいて行われるようになり、グローバルでの情報共有や技術開発、社会実装に向けた取り組みの加速が期待できるとしている。 2つ目の発表案件が「世界初、国際標準規格ISO5491に準拠した ドローンポート情報管理システム「BEPポート/VIS」のβ版提供を8月1日より開始」。前記の国際標準規格ISO5491が定めるドローンポートシステムの設備要件に準拠したドローンポート情報管理システム「BEPポート/VIS」((ブルーイノベーション独自のデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform」をベースに開発したドローンポート向け情報管理システム)を開発し、そのβ版の提供を物流や点検事業者、UTMサービスプロバイダー、ドローンポートおよびドローン機体メーカーなどに向けて8月1日より開始する。 これにより、国内外において個社別に進められていたドローン物流などにおけるドローンポートおよび関連システムの開発や運用実証、事業化検討などが国際標準規格下で行われるようになり、公共性の高い社会インフラとして期待されているレベル4での異機種・複数機のドローンを活用した目視外・全自動ドローン運航管理システム開発の加速が期待できる。 mmガードは、インフラ点検ソフト「Drone View」などを出展した。同社の展開する〝違いがわかるAI〟が異常を見つけるDrone Viewの利用で、太陽光パネルの異常発見やレポート作成などの後処理を自動化できる。 同社の「日高ドローンフィールド」は、JR北海道の日高線の廃線跡地を活用してオープンする。旧新冠駅周辺を中心に旧様似駅までの沿線の海辺、山間部、市街地で飛行が可能だ。 『ガス可視化カメラ』は、DJI製Matrice 300に取り付け可能な特殊な赤外線カメラで「メタン系のガス」を可視化できる。 mmガード(東京都中央区、鈴木和清社長)はこのほど、二輪・四輪車用クラッチのトップメーカーであり、ドローンを中心とした新規事業開発を推進するエフ・シー・シー(FCC、静岡県浜松市、斎藤善敬社長)と資本業務提携した。 JR北海道の日高線(鵡川~様似間)の廃線跡地を活用して、鉄道インフラ点検向けAI「Drone View」の完成と、より広域・長距離・長時間の点検や、さらなる高度なセンシングソリューションを実現していく。 本提携により、ドローンによる太陽光発電所のパネル点検や鉄道インフラ点検などを効率化する 〝違いがわかるAI〟「Drone View」の普及を今まで以上に加速し、安全で効率的な点検業務を実現していく。 「AI」と「ドローン」によるロボット点検の実現で、人口減少に伴う点検作業員不足の問題を解決すると共に、作業の効率化を実現していく。mmガードがAI製品の開発を、エフ・シー・シーが販売・サポートを担当することで、mmガードの社内リソースを開発分野に集中し、開発スピードを今まで以上に加速する。 また、エフ・シー・シーが協業先と開発中である高ペイロード・長時間飛行可能なドローンとの組み合わせにより、バッテリードローンでは不可能であった、より広域・長距離・長時間の点検や、さらなる高度なセンシングソリューションが実現可能となるシナジー効果も期待しているとしている。 「Drone View」とは、教師なし学習モデルの深層学習で異常を見つける。「Drone View」は、教師データが少ない分野での異常検知を目指して開発されたAI。 学習を「教師なし」で進めることで、正常画像の準備だけで「いつもと違う部分」を発見することができる。写真撮影にドローンを活用することで、太陽光発電所などの広大なエリア、鉄道インフラなどの長距離、送電線・ダム・携帯基地局などの高所点検も作業員の危険を伴わずに効率的に実施することができる。 mmガードは、2021年3月に鉄道事業を廃止したJR北海道の日高線(鵡川~様似間)の廃線跡地を活用して、鉄道インフラ点検AIの開発を進めている。線路上の障害物発見AIについては既にベータ版が完成しており、新たに利用を開始する廃線区間を活用してその性能を向上していく。 イームズロボティクス(福島県南相馬市、曽谷英司代表取締役)は福島相双復興推進機構、福島県庁の3社合同出展で「Japan Drone 2023」に出展した。展示内容は、第一種型式認証申請機ドローン「E600―100」(プロトタイプ/参考展示)、二重反転ドローン(参考出展)、風車レセプター点検ドローン(参考出展)、リモートIDソリューション「ドローン飛行情報確認システム」、IoT気象センサー(日本気象協会提供)。 第一種型式認証申請機E600は「カテゴリー3」運航の承認を得ることで、『レベル4』飛行が可能となり、物流ドローンの事業化を見越した本格的な物資輸送利用が見込まれる。本機種では、将来の本格的な社会実装に適応可能な、高い安全性能の実現を目指しており、最大で5㌔㌘の物資輸送能力を有する。 機体にはカーボン素材を使用し軽量かつ高い剛性を持つ構造、各種システムは安全性の向上を目指した設計で、人や人家の上空を、多少の天候変化に左右されることなく、安全に荷物を運搬することができるコンセプトの下、開発を進めている。(全文は7月24日付け4、5面に掲載)
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