【空の日】イームズロボティクス 曽谷社長に聞く
6月20日からドローンの機体登録制度により、以降発売されている100㌘以上の全ての無人航空機に対しては、登録記号(ID情報)を発信する仕組み「リモートID」を搭載しなければいけないことが義務化された。イームズロボティクス(福島県南相馬市、曽谷英司社長)は、空の安全、安心を確保するためのシステムとして送信機・受信機・クラウドサービスを含めた「リモートIDソリューション」を展開している。同社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が8月9日に採択した「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」において、事業名「ドローンの1対多運航を実現する機体・システムの要素技術開発」の実施予定先に採択された。曽谷社長、事業推進本部ソリューション営業部の荒井哲也氏に同社の企業理念やリモートIDソリューションの特長、自動航行農薬散布ドローンについてイームズロボティクスR&Dセンター(埼玉県ふじみ野市)で話を聞いた。 イームズロボティクス(EAMS Robotics)の前身は、テレビユー福島・MTS&プランニング・enRouteの共同出資で2016年に設立した「enRouteM’s」。2018年に現社名に変更した。「EAMS」の略称は「Engineering for Autonomous Mobility and Systems」の頭文字を取ったもの。UAVやUGVなどの自律飛行・自律走行できるガジェットを用いて、クライアントが抱える問題に対し、解決力を持って提案(ソリューション)をする会社というコンセプト。 曽谷英司社長は「イームズロボティクスは、エンジニアのための自律歩行をするロボットやシステムを開発するというのが基本理念であり、今回のNEDOのプロジェクトはまさにイームズの企業理念に沿ったもの」と述べた。 さらに「イームズロボティクスは、ドローン以外にもボート、UGVなどの開発を手がけており、陸海空に亘る自律システムをつくっているのは国産メーカーで当社だけ。なぜそれが可能かというと、ドローンのソフトウェア「ArduPilot(アルジュパイロット)」を採用しているから。ArduPilotは、誰でも無料で利用できるオープンソースソフトウェアで柔軟性、信頼性が特長。ソースコードは世界シェアトップクラスだ。ライセンスもフリー。ArduPilotをカスタマイズした自社製品の特許出願も可能だ。ドローンであれば機体を各種センサーの情報に基づいて制御する、いわばドローンの頭脳にあたるのがArduPilot。フライトコントローラー、いわば大脳部分がGPSなどを受信して、自己位置を認識しながらそこに向かってモーターを動かしていくという概念。ドローンであればプロペラ、ボートであればスクリュー、クルマであればタイヤ。いずれもモーターを動かして目的地に行くというアルゴリズムを陸海空に全部使っている」と話す。 曽谷社長は「ドローンといっても、あくまでデバイスのひとつと考えている。いかに安全に自動で業務を行えるかというロボットサービスの開発提供を行う企業を目指している。他にドローンメーカーは40社ほどあるが、そのほとんどがドローンを売ることに注力している。当社は機体の販売は全体の3分の1。残りはソリューションの開発やシステムサービスで、私どもはドローンを使ってお客様の業務をいかに効率化するかがいちばん重要だと思っている。お客様は他社は『こういったドローンをつくってほしいといってもつくってくれない』という。当社はお客様が要望されるドローンのカスタマイズ化を行っている」と話した。ArduPilotを複合的に活かした機能をどんどん広めていく考えだ。(全文は9月21日号6面に掲載)
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