放送記念日号 特別対談 NHK専務理事・技師長 児野昭彦 本社社長 麻生浩一郎
昨年12月1日にBSによる4K・8K実用放送がスタートした。さらに、今年3月5日には放送法改正が閣議決定されるなど、放送を取り巻く環境は大きく変化している。“公共メディアの実現”を掲げるNHKでは、「情報の社会的基盤」の役割を果たすべく、経営計画に基づき様々な取り組みを進めている。 今回の放送記念日対談では、児野昭彦専務理事・技師長に、BSによる4K・8K放送の現状と課題、2年目を迎える経営計画、働き方改革、いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック、常時同時配信やインターネット活用などについて、本社社長麻生浩一郎が聞いた。◇ 麻生 2018年12月に4K・8Kの本放送が開始されましたが、現在の状況と今後の課題は? 児野 本放送を開始して3か月が過ぎました。4月からは年度が替わり、新しい編成となります。BS4K、BS8Kはこれまで同様、2Kとは全く異なる編成を組み、その魅力が十分伝わるような「コンテンツ制作」を行っていきます。その「コンテンツ制作」、それを支える「設備面の拡充」、そしてより多くの方々に見ていただくための「受信機の普及やBS左旋の受信環境の整備」が、放送技術の先導的な役割を担うNHKにとって三つの大きな柱だと考えています。 まず、コンテンツ制作についてですが、4K・8Kは、超高精細な映像と、明暗のコントラストの幅が広がったハイダイナミックレンジ(HDR)、再現できる色の範囲が広色域(Rec2020)となるなど、よりリアルな映像と、22.2マルチチャンネルによる臨場感あふれる音声が特長です。BS4K,BS8Kではその特長を生かした、魅力あるコンテンツ制作に取組んでいます。 BS4Kは、“超高精細映像の入口”として、多くの視聴者に身近に楽しんでいただくために、4KHDR/2KSDR一体制作の大河ドラマ「いだてん」をはじめとするドラマ番組や、「大自然や紀行番組」、「スポーツ中継」など、幅広いジャンルで番組の充実を図ります。4K制作では、制作設備の小型化が進んでいることなどを踏まえて、昨年12月1日の開局特別番組では、2K制作同様の機動性を生かした「南極からの4K生中継」を実施しました。 BS8Kでは、「紅白歌合戦」やオペラ・クラッシック、ライブなどの「音楽番組」や「大型スポーツ中継」、国内外の貴重な美術品を紹介する番組など、圧倒的な映像や音響にこだわった大型番組を制作します。さらにBS8Kでは、深海や国際宇宙ステーションなど、皆さまが足を踏み入れることができないような、様々なフィールドに8Kカメラを持ち込むことで「未知の映像体験」をお届けします。 4K・8Kの両方に言えることですが、ドローン撮影による紀行番組は特に素晴らしい。欧州の美しい町並みや断崖絶壁にある建物のようすなどの絶景を、俯瞰でかつ立体的なカメラワークで捉えるには、超高精細映像がとても効果的です。何度でも見ていただきたいコンテンツの一つなので、是非ご覧いただきたい。(全文は3月22日号に掲載)
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ